この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。
## 第1話:貸切湯煙、絡みつく視線
都会の喧騒に疲れ果てた25歳の彩花は、衝動的に一人温泉旅行を決めた。平日夕暮れの高速道路を抜け、山間の宿に着いた頃には、空は深い藍色に染まっていた。チェックインを済ませ、受付の女性から「貸切露天風呂をご予約済みですね。湯加減は抜群ですよ」と微笑みながら言われた。仕事のストレスが、肩に重くのしかかっていた。湯に浸かれば、きっとこの疼きが溶けるはずだ。
浴衣に着替え、足早に露天風呂へ向かう。石畳の小道は、街灯の柔らかな光に照らされ、遠くで虫の声が静かに響く。貸切とはいえ、周囲は人影もなく、夜の山の静寂が心地よい。扉を開けると、湯煙が立ち上る露天風呂が広がっていた。岩組みの湯船は広く、蒸気が月明かりに白く浮かぶ。誰もいないのを確認し、彩花は浴衣を脱ぎ捨て、素肌を湯に沈めた。
熱い湯が肌を包み、思わず息を漏らす。肩まで浸かり、目を閉じると、身体の芯がじんわり溶けていく。都会の灰色の日常から逃れ、ようやく自由な息吹を感じた瞬間だった。だが、ふと気配に気づく。湯船の向こう側から、水音がする。目を開けると、そこに三人の男がいた。二十代前半の逞しい体躯、湯に濡れた肩と胸筋が、湯煙越しにくっきり浮かぶ。
「え……ここ、貸切のはずじゃ……」
彩花の声が震える。三人はこちらに気づき、一瞬静まり返った後、笑い声が上がった。中央にいた短髪の男が、にやりと笑う。
「すみません、先に使わせてもらってました。予約の時間、重なっちゃったみたいですね。俺たち三人で貸切に入ったんですけど、退出しますので、どうぞ」
隣の長身男が続ける。「いや、せっかくだし、一緒に入りませんか? 混浴露天ですよ、この宿。貸切予約でも、同時入りがOKなんですって」
彩花の心臓が早鐘のように鳴る。衝動で来た旅行だ、こんな予期せぬ出会いが待っているとは。湯の熱さと相まって、頰が火照る。三人は二十歳を過ぎたばかりの若々しさで、肌は引き締まり、湯に濡れて光沢を帯びていた。逃げ出すべきか、それともこの熱に身を任せるか。欲望が、理屈を追い越す。
「まあ、いいか……私も一人で入るつもりだったけど、賑やかで悪くないかも」
彩花は自分でも驚くほど素直に頷いた。男たちは喜び、自己紹介を始める。
「俺、拓也。22歳です。こっちが健太、同じく22歳。で、悠斗も22歳。大学時代の友人で、平日休み取って温泉来たんですよ」
拓也の声は明るく、健太は穏やかな笑みを浮かべ、悠斗は少し照れくさそうに手を振る。彩花は湯の中で膝を抱え、年齢を明かす。
「私は彩花、25歳。仕事の疲れを癒しに、一人で来ました。衝動的に予約しちゃって」
22歳と25歳。ほんの少しの年の差が、妙に甘い緊張を生む。湯船で視線が絡み合う。拓也の視線が、彩花の鎖骨を滑り落ち、湯に浮かぶ胸の膨らみに留まる。健太は肩のラインを、悠斗は濡れた髪を追う。彩花もまた、三人の逞しい胸板と、湯中でうっすら見える腹筋に目を奪われる。湯煙が視界をぼかし、肌の火照りが欲望を煽る。熱い湯が、身体の奥を疼かせる。
「25歳のお姉さん、綺麗ですね。肌、すべすべで羨ましいですよ」
拓也の言葉に、彩花の身体がびくりと反応する。湯の中で足が触れ合い、水面が揺れる。健太が笑って続ける。
「俺たち、普段は都会で働いてるんですけど、こんなところで出会うなんて運命かも。仕事何してるんですか?」
会話が弾む中、彩花の心はざわつく。衝動的に頷いた自分に、後悔の影がちらつく。でも、この視線の熱さ、肌の近さが心地よい。悠斗が湯を掬い、肩にかけながら言う。
「夕食、一緒にどうです? 宿の宴会料理、旨いらしいですよ。俺たち三人で予約入れてるんで、彩花さんも加わって」
誘いの言葉に、彩花の胸が熱く疼く。湯の余熱が、すでに身体を支配し始めていた。三人の視線が、甘く絡みつく。意気投合した空気の中、彩花は頷く。
「うん、いいよ。楽しみにしてる」
湯船から上がり、身体を拭く頃には、肌が火照りきっていた。浴衣の隙間から漏れる湯気の熱が、夜の予感を煽る。夕食の宴で、何が待っているのか。心臓の鼓動が、止まらない。
(第2話へ続く)
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