如月澪

隣の教師が溶かす距離(第3話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第3話:支える指先と溶ける体温

三日目の夕方、雨が細かく降り始めた。部屋の窓ガラスに水滴がゆっくりと這い、街灯の光がぼんやりと滲む。ノックの音が聞こえたとき、すでに体は少し熱を帯びていた。ドアを開けると、彼女は白いブラウスに淡いグレーのカーディガンを重ね、黒いバッグを手に立っていた。穏やかな微笑みは変わらず、しかし目元にわずかな気遣いが滲んでいる。

「少し熱があるようですね。無理をなさらないで」

彼女は自然に部屋へ入り、テーブルにバッグを置いた。動作は丁寧で、まるで日常の延長のように椅子を引いて座る。こちらがソファに腰を下ろすと、彼女は静かに近づき、肩に手を添えた。指先の圧が、シャツ越しに体を支える。温かい感触がゆっくりと染み込み、息を吐くたびに肩の力が抜けていく。

「以前、似たような体調の生徒を看病したことがあります。無理に動かず、ただ寄り添うだけで少し楽になるものですよ」

声は低く、穏やかだ。彼女の手が肩から背中へ滑るように動き、体を軽く支える。指の腹が脊椎のラインをなぞるわけではないが、その存在感が背筋に沿って熱を運んでくる。彼女の吐息が耳元でわずかに感じられ、ブラウスから漂う柔らかな香りが鼻をくすぐった。視線を上げると、彼女の瞳がこちらを見つめている。互いの体温が、触れ合う部分でじんわりと混ざり合う。

「このくらいの距離で、呼吸を合わせてみましょうか」

彼女はもう片方の手で自分のカーディガンの前を軽く押さえ、こちらの体を優しく引き寄せる。胸のあたりが近づき、彼女の鼓動が微かに伝わってくる。指先が首筋に触れた瞬間、皮膚が小さく震えた。彼女はそれを察したように、指を離さず、ゆっくりと円を描くように撫でる。熱が首から胸元へ広がり、息が少しずつ乱れていく。彼女の吐息も、こちらのものと重なり合うたびに濃さを増した。

「大丈夫……。ここで、少しだけ力を抜いて」

言葉が耳に染み、彼女の体がさらに寄り添う。太ももが触れ合う位置で、彼女のスカートの生地が柔らかく擦れた。視線が絡み合う。彼女の瞳の奥に、普段の穏やかさとは別の熱が揺れているのがわかった。手が背中から腰へ移動し、シャツの端を軽く押さえる。指先の温もりが、直接肌に届きそうな距離で止まる。体内のどこかが甘く疼き始め、息を整えようとしても、彼女の存在がそれを許さない。

彼女は少しだけ前傾になり、額をこちらの肩に寄せた。髪の先が頰をくすぐり、吐息が首筋を這う。鼓動が速くなり、彼女の指が腰のあたりで小さく力を込める。体が自然に反応し、熱が下腹部へ集中していく。彼女の呼吸が荒くなるのが伝わり、互いの体温が溶け合うような感覚が広がった。視線を逸らさず、彼女は静かに微笑む。その微笑みに、拒否の余地はない優しさと、確かな意思が混じっていた。

「明日……また、来てもいいですか」

彼女の声が、唇の近くで囁かれるように響いた。指先が離れ、背中から離れた場所が急に冷たく感じられる。雨の音が窓の外で続き、部屋の空気はまだ熱を帯びたままだ。彼女は立ち上がり、こちらの目をもう一度捉えた。視線が交差したまま、彼女はゆっくりとドアへ向かう。その背中が、わずかに熱を残して部屋を去っていく。

(次話では、二人の距離が自然に埋まり、互いの体が重なり合う予感がする)