雨宮凪紗

クール上司の熱く濡れた視線(第1話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第1話:残業後のバー、口移しの熱

オフィスの蛍光灯が消え、街のネオンが窓ガラスに滲む頃。28歳の涼香は、デスクの書類を畳みながら、ふと隣の席に目をやる。25歳の部下、拓也がまだ残業を続けている。クールな視線で彼の指先を追うと、タイピングの音が静かな夜のオフィスに響く。

「拓也くん、もう終わり?」

涼香の声はいつも通り、氷のように澄んでいる。黒髪を耳にかけ、細いフレームのメガネを押し上げる仕草。スーツのスカートラインが膝上できちんと揃い、ヒールが床に軽く鳴る。彼女は社内で「氷の女王」と囁かれる存在だ。感情を表に出さず、仕事は完璧。部下のミスも冷徹に指摘する。

拓也は画面から顔を上げ、にっと笑う。「あと少しです、上司。今日のプロジェクト、完璧に仕上げますよ。一緒に一杯、どうです? 残業のお礼に」

彼女の眉がわずかに動く。普段なら即座に断るはずだ。でも、今日の疲れが肩に重く、街灯の揺らめく夜道を一人で歩くのが億劫だった。「……いいわ。近くのバーで」

二人はオフィスを出て、路地裏のバーへ滑り込む。平日深夜の店内は、ジャズの低音が溶け、カウンターに大人たちの影が並ぶ。グラスが触れ合う音、煙草の残り香。涼香はハイボールを、拓也はウイスキーを注文。氷が溶ける音が、互いの沈黙を埋める。

「上司、いつも完璧ですよね。俺、憧れますよ」拓也の声が、酒の熱を帯びて近づく。涼香はグラスを傾け、冷たい瞳で彼を見る。「仕事よ。それだけ」

会話はプロジェクトの話から、徐々にプライベートへ。拓也の視線が、彼女の唇に落ちる。赤いリップがグラスの縁を濡らす。酒の勢いか、彼の指が自分のグラスを回す。「上司、ちょっと味見どうです? 俺のこれ、強いですよ」

涼香は小さく首を振る。「自分で飲むわ。」でも、拓也はグラスを口に含み、身を寄せる。息が彼女の頰にかかる距離。「口移しで、特別に」

心臓が跳ねる。拒否の言葉が喉で詰まる。「ばか……そんな」唇が触れ、ウイスキーの熱い雫が零れる。拓也の口内から、酒が彼女の舌へ滑り込む。甘く、苦く、男の息が混じる。涼香の唇が震え、冷たい瞳に火が灯る。

「ん……っ」拒む手が彼の胸に当たるのに、指先がシャツを掴む。酒の味が溶け合い、舌が絡む。拓也の唇が柔らかく押しつけ、吸うように深くなる。彼女の息が熱く漏れ、首筋が震える。バー内の空気が重く、カウンターの影が二人の熱を包む。

涼香の身体が反応する。胸の奥が疼き、太腿が無意識に閉じる。クールな仮面の下、肌が火照る。「や……め」囁きは弱く、唇が離れてもまた重なる。拓也の手が彼女の腰に回り、引き寄せる。酒の雫が顎を伝い、首元を濡らす。

息が乱れ、互いの鼓動が響き合う。涼香の瞳が潤み、冷たさが溶ける。「拓也くん……熱い」彼の舌が再び入り、酒を分け合う。甘い疼きが下腹部へ広がり、彼女の指が彼の背を爪立てる。拒みは形だけ、身体は素直に熱を求めている。

バーの時計が深夜を指す頃、拓也が涼香の耳元で囁く。「上司、俺の部屋……いや、あなたのマンション、近いんですよね?」

涼香の唇が震え、頷きそうになる。冷たい瞳に、熱い渇望が宿る。この熱は、もう止まらない――。

(第1話 終わり 約1950字)

次話:「マンションの扉が閉まる瞬間、口移しの続きが……」