神崎結維

日焼け跡の覗き、人妻の揺らぎ(第1話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第1話:夏の午後、隣人の白い肌

 平日の午後、蒸し暑い陽射しがカーテンの隙間から差し込み、部屋を淡い金色に染めていた。僕は窓辺に立ち、息を潜めて外を覗き込む。隣の庭。そこに彼女がいた。遥さん、二十八歳の人妻。夫の仕事で一人暮らしのような日々を送る、近所でも静かに佇む存在だ。血縁なんてない、ただの隣人。それなのに、彼女の姿を見るたび、胸の奥に曖昧な疼きが広がる。

 遥さんは庭のデッキチェアに横たわり、日焼けをしていた。黒いビキニが、褐色の肌に食い込むように張り付いている。いや、正確には、ビキニの縁が際立たせる白い肌の部分が、僕の視線を奪う。肩紐の下、胸の谷間、腰骨のくぼみ。お腹の平らな部分が、鮮やかな日焼け跡で縁取られていた。あのコントラスト。褐色に焼けた肌と、白く残る柔らかな部分の境目が、まるで誘うように浮かび上がる。汗が光り、彼女の指先がゆっくりとその白い肌を撫でる。首筋から鎖骨へ、鎖骨から胸の膨らみの端へ。指が滑るたび、ビキニの布地が微かにずれ、息を飲んだ。

 僕はカメラを構えていた。望遠レンズ越しに、シャッターを切った。カシャ。音は消音モードで、かすかな振動だけが手に伝わる。心臓の鼓動が、耳元で鳴り響く。三十歳の僕が、こんなことをするなんて。仕事の合間、誰もいないこの時間に、隣人の庭を盗み見る。罪悪感? いや、そんなものより、彼女の肌が脳裏に焼きつく熱の方が強い。日焼け跡の線が、まるで僕を呼ぶようにくねる。あの白い部分に触れたら、どんな感触だろう。熱く、柔らかく、汗で湿ったまま。

 遥さんは目を閉じ、ゆっくりと身体を反らせる。ビキニのトップが持ち上がり、白い腹部がより露わになる。日焼け跡が、細い線のように腰まで伸び、ビキニの紐の下に消えていく。彼女の指が、そこをなぞる。無意識か、意図的か。汗の粒が転がり、白い肌を伝ってビキニの縁に落ちる。僕はレンズを寄せ、連写した。カシャ、カシャ。息が荒くなり、額に汗がにじむ。彼女の太もも内側、白く残る部分が、微かに震えるように見える。風が庭を渡り、葉ずれの音がするだけ。静かな午後、周囲に人の気配はない。この時間、大人たちの日常が途切れた隙間。僕と彼女だけが、境界のない視線で繋がっている。

 ふと、遥さんの手が止まる。目を細め、ゆっくりと上体を起こす。汗に濡れた髪が首筋に張り付き、白い肌を強調する。彼女の視線が、庭のフェンス越しに、僕の窓に向かう。心臓が跳ね上がる。気づかれた? いや、まさか。カーテンの隙間は狭く、僕の姿は影に溶けているはずだ。それでも、彼女の瞳が、微かに揺れる。唇がわずかに開き、息を吐くように微笑む。あの微笑み。曖昧で、掴みどころがない。誘っているのか、ただの気のせいか。日焼け跡の白い肌が、陽光に輝き、僕の胸を焦がす。

 僕はカメラを下ろさず、シャッターを切った。彼女は立ち上がり、ゆっくりと窓の方へ近づく。庭の芝を踏む足音が、想像の中で響く。ビキニの紐が揺れ、白い腰のラインが露わになる。汗が背中を伝い、日焼け跡の境目をなぞるように滴る。彼女の指が、再び肌を撫でる。今度は、胸の膨らみを優しく押さえ、息を整える仕草。視線が、僕のいる窓に固定される。鼓動が速まる。逃げようか、それともこのまま。境界が、溶けそうで溶けない緊張が、身体を震わせる。

 遥さんはフェンスに手をかける。微笑みが深くなる。曖昧な熱が、窓ガラス越しに伝わってくるようだ。彼女は何を知っているのか。本心を明かさないまま、ただ視線を投げかける。僕の指が、震えながらレンズを握りしめる。この疼きは、何だ。恋か、錯覚か。それとも、ただの夏の陽射しの残像か。

 彼女の瞳が、微かに細められる。次に、何が起こるのか。息を潜め、僕は待つ。

(約1950字)

次話へ続く