冬特集芦屋恒一

雪山荘の年齢差に疼く肌(第2話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第2話:ろうそくの灯り、震える指先

 暗闇が、山荘を一瞬で飲み込んだ。暖炉の残り火が、微かな赤い残光を放つばかりだ。停電の静けさが、雪の降る音をより鮮明に際立たせる。窓の外で、風が唸りを上げ、雪の粒がガラスを叩く。美咲の息が、すぐそばで聞こえる。細く、わずかに乱れた吐息。僕の心臓が、六十余年ぶりに速く脈打つ。

「先生……真っ暗ですね」

 彼女の声が、闇に溶け込むように低く響く。僕はソファの上で身じろぎし、彼女の輪郭を探る。暖炉の光が、かすかに彼女の頰を照らす。三十五歳の肌は、柔らかく光を反射し、二十七歳の年齢差が、こんな闇の中で甘く意識される。僕は慎重に手を伸ばし、テーブルの引き出しからろうそくを探り当てる。マッチを擦る音が、部屋に響き、橙色の炎が一本、ゆらりと立ち上がる。ろうそくをテーブルに置き、僕たちは互いの顔を見やる。

「大丈夫だ。ろうそくがある。毛布を取ってこよう。寒くなる」

 僕は立ち上がり、棚から厚い毛布を二枚引き出す。一枚を彼女にかけ、もう一枚を自分に。だが、ソファは狭く、自然と肩が寄り合う形になる。美咲の体温が、毛布越しに伝わる。細い肩が、僕の腕に触れる。彼女のセーターは薄く、華奢な骨格が感じ取れる。つるぺたな胸のラインが、息づかいに合わせて微かに上下する。僕は視線を落とさず、ろうそくの炎を見つめる。抑制が、僕の指先を震わせる。

 外の雪は、ますます激しくなる。山荘の壁を叩く音が、僕たちの沈黙を強調する。ろうそくの灯りが、彼女の瞳に小さな炎を映す。美咲が毛布を握りしめ、膝を抱えるように体を寄せてくる。年齢を重ねた僕の体は、彼女の柔らかさに、静かな疼きを覚える。

「先生、こんな夜に停電だなんて……まるで小説のようですね。雪に閉ざされて、過去を語り合う二人」

 彼女の言葉に、僕は頷く。酒の余韻がまだ残る喉で、ゆっくりと語り始める。六十余年の人生。仕事に没頭し、家庭の責任を果たした日々。妻との静かな別れ、独立した子供たちの影。美咲も、グラスを置いたまま、自身の過去を明かす。編集者として駆け上がった二十代後半、恋に失敗し、三十五歳の今、孤独を背負う。キャリアの重みが、心に影を落とす。年齢差の話が、自然と交錯する。僕の古い経験が、彼女の若い孤独を優しく包むようだ。

「先生の小説のように、現実は抑制されたものばかり。でも、こんな雪の夜に、二十七歳の差が、こんなに近く感じるなんて……」

 美咲の声が、かすかに震える。ろうそくの炎が揺れ、彼女の黒髪に影を落とす。僕は毛布の下で、手を動かす。慎重に、彼女の細い肩に触れる。セーターの生地越しに、華奢な骨が感じ取れる。温かく、滑らかな肌の感触。彼女は体を引かず、ただ息を潜める。僕の指が、ゆっくりと肩から鎖骨へ滑る。控えめな胸元のライン――貧しく平坦な膨らみが、掌に収まるほどに柔らかい。つるぺたな感触が、指先に甘く震えを伝える。六十余年の抑制が、こんな柔らかさに溶け出す。

「美咲さん……いいのか」

 僕の声は低く、確かめるように。彼女の瞳が、ろうそくの光で輝く。そこに、合意の熱が宿る。わずかな頷き。年齢差の重みが、逆に甘い絆を生む。彼女の細い指が、僕の手に絡む。互いの視線が、暗闇で深く交わる。雪の静寂が、僕たちの息遣いを包む。僕は彼女の肩を引き寄せ、唇を重ねる。柔らかく、温かな感触。三十五歳の唇が、僕の六十余年の渇きを優しく満たす。舌が絡み、甘い吐息が混じり合う。毛布の中で、体が近づく。彼女の貧乳が、僕の胸に押しつけられ、平坦な柔らかさが熱を帯びる。

 キスは深く、しかし抑制されたリズムで続く。僕の指が、セーターの裾から忍び込み、素肌に触れる。滑らかな腹部、細い腰。つるぺたな胸に掌を這わせると、彼女の体が微かに震える。小さな突起が、硬く尖る感触。美咲の吐息が、唇の隙間から漏れる。「先生……あっ……」低く甘い声が、ろうそくの灯りを震わせる。雪の降る音が、僕たちの緊張を増幅させる。年齢差が、こんなにも肌を疼かせる。彼女の過去の孤独が、僕の指先に溶け込む。

 外の風が、突然激しく唸る。雪嵐の轟音が、山荘を揺るがす。ろうそくの炎が大きく傾き、影が部屋を舞う。美咲の体が、僕に強く寄り添う。唇が離れ、互いの息が荒く混じる。彼女の瞳に、さらなる熱が灯る。雪の激しさが、僕たちの欲望を予感させる。毛布の下で、手が互いの肌を探り……。

(第3話へ続く)