この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。
## 第2話:部屋の柔革と首筋の汁滴
雨の路地を抜け、扉が開く。
沙耶の部屋。
平日の夜の静寂。雨粒が窓を叩き、街灯の光が薄く滲む。
黒いカーテン。低いソファ。壁際に、果物の皿。
熟れた桃、残り二つ。汁気が皿に溜まる。
沙耶が美緒の背を押す。
軽く。指先の熱が、ドレスの布越しに染みる。
美緒の踵が、床に沈む。
視線を落とす。沙耶の唇、未だ桃の光沢。
喉が、乾く。
沙耶の指が、美緒の腕を掴む。
滑らかな革紐。柔らかく、しかし締まる気配。
美緒の両腕、後ろへ。
紐が巻きつく。一周。二周。
結び目、緩やか。解ける余地を残す。
美緒の肩が、僅かに震える。
「これで、いい?」沙耶の声、低く響く。
美緒の瞳、沙耶を捉える。
頷き。僅か。唇が開く。
「うん……」吐息混じり。合意の震え。
沙耶の笑み。深く。
美緒をソファへ導く。
座らせる。腕は背後に固定。
沙耶が膝をつき、美緒の前に。
視線が、首筋を這う。
ゆっくり。上から下へ。鎖骨の窪みまで。
美緒の息が、速まる。胸が上下。
紐の締め、心地よい重み。逃げぬ。逃げたくない。
沙耶の指が、桃を摘む。
皿から。一つ。赤く熟れた。
唇に寄せる。
歯が沈む。柔肉の破裂、静か。
咀嚼。ゆっくり。粘つく音、部屋に響く。
舌が果肉を転がす。汁が唇に溜まる。
美緒の視線、そこに釘付け。
喉が鳴る。飲み込む音、自分で聞こえる。
沙耶が身を寄せる。
唇、美緒の首筋に近づく。
息が、肌に触れる。熱い。
咀嚼の音、止まぬ。果実の欠片、口内に。
沙耶の歯が、首筋に甘噛み。
軽く。汁を塗るように。
桃の甘酸っぱさ、肌に染み込む。
美緒の背が、反る。
吐息が、漏れる。「あ……」
熱が、首から胸へ。全身へ。
沙耶の舌が、噛み跡をなぞる。
汁を塗り広げる。湿った軌跡。
美緒の膝が、震える。紐が腕を締め、快楽の枷。
視線を上げ、沙耶の瞳と絡む。
闇が深い。吸い込む。
美緒の唇が、震える。言葉、欲しい。
沙耶の指が、桃の欠片を摘む。
口移し、寸前で止める。
美緒の息、乱れ。待ちきれぬ渇望。
沙耶のもう片方の手、美緒の顎を掴む。
軽く。顔を上げる。
唇が、重なる。僅か。果実の香りが混じる。
咀嚼の余韻、共有の予感。
美緒の舌が、沙耶の唇を探る。
沙耶が引く。僅か。
主導権、綱引き。息苦しい。
沙耶の指が、美緒の唇をなぞる。
ゆっくり。輪郭を。
桃の汁を塗るように。
美緒の口が開く。指を迎え入れる。
舌が絡む。甘い。熱い。
沙耶の瞳、細まる。満足か、さらなる渇望か。
美緒の体、紐に縛られ、沙耶に委ねる。
合意の深み。震えが、甘く増す。
沙耶が立ち上がる。
棚から、何かを取る。
細い鞭か。革の光沢。
美緒の視線、そこに。
期待の疼き。
沙耶の唇、弧を描く。
咀嚼の鎖、次なる一節。
雨音が、激しくなる。
(第3話へ続く)