緋雨

上司視線の窄まり、ふたなりの疼き(第1話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第1話:オフィスの静寂、後ろ姿に注がれる視線

 平日の夜、オフィスは深い静けさに包まれていた。窓の外では街灯がぼんやりと光を落とし、雨の気配が空気を重く湿らせている。デスクの蛍光灯が淡く照らす中、残っているのはわずかな社員だけ。42歳の部長、綾子は自席で書類をめくりながら、視線を上げた。向かいの席でキーボードを叩く後ろ姿──28歳の新入社員、美咲のそれに、静かに留まる。

 綾子の視線は、いつからか美咲の腰のラインに落ちていた。細く引き締まったシルエット、スカートの裾がわずかに揺れる様子。オフィスの空気は冷たく、しかしその視線が絡みつくように重い。美咲は背筋に、何かを感じて指を止めた。振り返るわけでもなく、ただ肩が微かに緊張する。後ろから聞こえる、綾子の息遣い。普段より少し、深く、ゆっくりとしたリズム。規則正しいはずの呼吸が、かすかに乱れているのを、美咲の肌は捉えていた。

 綾子は40代の女性として、部下たちから信頼が厚い。冷静で、無駄な言葉を使わない。だが今夜、その視線には抑えきれない何かが宿っていた。美咲が入社して三ヶ月。最初は業務の指導だけだった。次第に、残業の時間が増え、二人きりの機会が重なるようになった。言葉は少なく、ただ視線が交錯するだけ。美咲はそれを、仕事の厳しさだと自分に言い聞かせてきた。だが今、背中に感じる熱は、違う。

 「美咲さん」
 綾子の声が、低く響く。オフィスの空気が、ぴたりと張りつめた。美咲はゆっくり振り返る。綾子のデスクから立ち上がり、こちらへ近づいてくる姿。黒いブラウスが体に沿い、胸元のボタンがわずかに張っている。42歳とは思えぬ、しなやかな動き。美咲の視線が、綾子の腰に落ちる。スカートの下、微かな膨らみの気配を、初めて意識した。

 「今夜、残業をお願いします。この資料、今日中に仕上げて」
 綾子は美咲のデスクに書類を置きながら、そっと肩に手を添えた。指先の冷たさが、ブラウス越しに伝わる。美咲は頷くしかなかった。「はい、部長」。周囲の社員が次々と帰宅の支度を始め、オフィスはさらに静かになる。足音が遠ざかり、エレベーターの扉が閉まる音。最後に残ったのは、二人だけ。

 部屋の空気が、変わった。蛍光灯の微かなノイズと、外の雨音だけが響く。美咲は再び画面に向かうが、集中できない。後ろから、綾子の気配が近づく。椅子を引き、すぐ隣に座る音。息が、首筋にかかるほど近い。綾子の視線が、美咲の後ろ姿をなぞるように落ちる。腰のくびれ、ヒップの丸み、スカートの布地が張る窄まりの部分へ。そこに、視線が窄まる。

 美咲の肌が、甘く疼き始めた。内腿の奥が、じわりと熱を持つ。なぜか、抵抗の言葉が出てこない。綾子の手が、ゆっくりと美咲の腰に触れた。軽く、支えるように。だがその手から、伝わる硬さ。スカート越しに、秘めた膨らみの輪郭が、はっきりと。綾子のふたなり──それは、静かなオフィスで、息を潜めて脈打っていた。

 「集中して、美咲さん」
 綾子の囁きが、耳元で溶ける。手は離れず、腰を優しく撫でるように留まる。美咲の息が、わずかに乱れた。肌の疼きが、窄まりの奥まで広がっていく。この視線の重み、この触れ方の抑制された熱。この夜が、どこへ向かうのか。美咲は目を閉じ、静かに身を委ねる予感に、震えた。

 オフィスの静寂が、二人の息遣いを際立たせる。綾子の視線は、さらに深く窄まり──。

(約1950字)

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