神崎結維

毎フライト近づく肌の距離(第2話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第2話:個室に忍び寄る指の影

深夜の国際線は、再び静かな闇に沈んでいた。機内の照明がさらに抑えられ、ビジネスクラスの個室ブースが互いの世界を隔てるように並ぶ。彩花は制服のスカーフを整え、通路を進む。胸の奥に残る前回の余熱が、歩くたび微かに疼く。あの微笑み、あの「次も」の言葉。プロ意識を抑え込みながらも、視線を探す自分がいる。拓也のシートは、窓際の個室。カーテンが半分引かれ、中の気配が漏れ出す。

ブースに近づくと、彼の姿が目に入る。スーツのジャケットを脱ぎ、シャツの袖を軽く捲った拓也。新聞ではなく、タブレットに目を落としている。彩花がカーテンを開けると、視線が上がる。深く、静かに。機内の空気より薄い膜が、再び張られる。

「今宵もお世話になります、彩花」

名前を呼ぶ声に、胸がざわつく。前回より親しげで、境界が少し溶けたような響き。彩花は微笑みを保ち、トレイを構える。

「ウィスキー、ローハイでお持ちしました。快適にお過ごしください」

グラスをテーブルに置く瞬間、個室の狭さが息苦しいほどに意識される。シートが広くても、二人の距離は近い。拓也の膝が、彩花の脚に触れそうな位置。彼女が身を引こうとすると、彼の息遣いが聞こえる。低く、規則正しい。制服の胸元に、温かな風が届くようだ。シャツの生地が、微かな息で揺れる。乳房の膨らみが、布地を優しく押し上げる。

視線が絡む。拓也の瞳に、彩花の胸元が映る。鎖骨のラインから、シャツの隙間へ。ボタンの間が、呼吸でわずかに開く。肌の白さが、ほのかに覗く。彼の息が深くなる。彩花の身体が反応する。乳首の先が、布地の下で微かに硬くなり、甘い疼きが広がる。プロの微笑みが、僅かに揺らぐ。

「この個室、いいね。静かで」

拓也の言葉に、彩花は頷く。ブランケットを広げようと身を寄せる。距離が、息が混じり合うほどに縮まる。彼の肩が、制服の袖に触れそう。空気の層が熱を帯び、震える。彩花の指がブランケットの端を滑らせ、拓也の手に近づく。触れない。触れそうで、触れない。その境界が、肌を焦がす。

沈黙が訪れる。甘く、重い。機内の微かなエンジン音だけが、二人を包む。拓也の視線が、再び胸元へ。シャツの隙間を、ゆっくりとなぞるように。彩花は感じる。その視線が、布地越しに乳房を撫でる錯覚を。息遣いが、温かく肌に届く。乳首が疼き、制服の内側で熱を持つ。彼女の呼吸が、少し乱れる。

「何か……ご要望は?」

声が掠れる。拓也は微笑まず、ただ視線を上げる。瞳に曖昧な熱が宿る。恋か、錯覚か。本心を探るように、互いの目が溶け合う。彩花の指が、無意識に制服の裾を握る。スカートのラインが、腰の曲線を強調する。彼の視線が、そこへ滑る。

サービスを終え、他の乗客を回るが、個室に戻るたび緊張が募る。ヘッドホンを調整するふりで、再び寄る。拓也の膝が、彩花の太ももに触れそうな距離。息遣いが制服越しに乳房を撫でるように、温かく湿った風。シャツのボタンが息苦しげに張る。視線が境界を溶かし、彩花の身体が熱く反応する。乳首の疼きが、甘く胸を震わせる。

「彩花、このフライトが好きだよ。君がいるから」

言葉に、胸が疼く。プロの域を超え、互いの本心がぼやける。拓也の指が、テーブルの上で動く。グラスの縁をなぞるように、ゆっくりと。彩花の視線が、そこに落ちる。彼の指先が、制服の隙間へ近づくような錯覚。シャツのボタン間、鎖骨の下。指が空気を切り、触れそう。熱い緊張が、肌をざわつかせる。

実際に、指が動く。拓也の手が、テーブルの下から制服の裾に伸びる。スカートの布地を、軽く掬うように。指先が、シャツの裾口をなぞる。肌に触れず、布の縁だけ。腰のラインを、ゆっくりと這う。彩花の息が止まる。指の熱が、制服越しに伝わる。乳房の下、腹部の柔らかさへ。境界が溶けそうで、溶けない。彼女の指が、無意識に彼の手に重ねそうになるが、止まる。

甘い沈黙が続く。指が制服の隙間をなぞり、シャツのボタン下を優しく撫でるように動く。布地が微かにずれ、肌の感触が間接的に伝わる。乳首の硬さが、疼きを増幅させる。拓也の息遣いが荒くなり、視線が熱く絡む。互いの瞳に、曖昧な渇望が揺れる。本心は明かさず、ただ熱だけが漂う。

「ありがとう。完璧だ」

拓也の声が、低く響く。指が、ゆっくりと離れる。触れなかった余熱が、彩花の肌に残る。プロ意識が、甘く揺らぐ。なぜか、身体の芯が濡れそうに熱い。

機内がさらに暗くなり、着陸のアナウンスが流れる。乗客たちが動き出す中、拓也は最後まで個室に留まる。降機の列で、カーテンを開け、彩花に視線を送る。出口で、手が彼女の腰に一瞬留まる。制服の布地越しに、温かな掌。指の力が、優しく沈む。境界が、溶けそう。

「次も、待ってるよ」

微笑みに、胸が疼く。扉が閉まる瞬間、彩花は思う。この熱は、次なるフライトでどこへ溶けていくのか。腰に残る手の感触が、曖昧な渇望を煽る。

(2014文字)