相馬蓮也

白衣の下、制服の熱衝動(第1話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第1話:白衣の診察台で疼く視線

 平日の夕暮れ、雨が細く降りしきる街路を自転車で急いでいた。俺、拓也は25歳のサラリーマン。仕事の残業を終え、疲れた体でアパートへ急ぐ途中だった。信号無視の車に煽られ、慌ててハンドルを切った瞬間、バランスを崩して転倒。膝を強打し、擦り傷を負った。痛みがジンジンと響く中、近くの総合病院へ駆け込んだ。

 待合室は閑散としていた。平日遅い時間帯、受付の女性がぼんやりとモニターを見つめ、廊下に響く足音はまばら。都会の喧騒から切り離されたような静けさ。俺は順番を待ちながら、膝の痛みをさすった。スマホをいじり、時間を潰した。心のどこかで苛立つ自分がいた。こんな些細な事故で、せっかくの夜が台無しだ。

 「佐藤拓也さん、どうぞ」

 看護師の声に立ち上がり、診察室へ入った。ドアを開けると、そこに彼女がいた。白衣を纏った美女の女医。28歳くらいだろうか。黒髪を後ろでまとめ、知的な眼鏡の奥に鋭くも柔らかな瞳。名札に「美咲」とある。すらりとした体型に、白衣の下から覗くタイトなブラウスが、豊かな曲線を際立たせていた。プロフェッショナルな佇まいが、俺の視線を一瞬で奪う。

「佐藤さん、転倒事故ですね。こちらへお座りください」

 美咲の声は落ち着いていて、低く響く。診察台に腰掛けると、彼女は俺の膝に視線を落とした。ゴム手袋をはめた手が、優しくズボンの裾をまくり上げる。冷たい空気に触れた肌が、思わず震えた。だが、次の瞬間――彼女の指先が膝の傷口に触れる。プロの触診。指の腹が、ゆっくりと皮膚をなぞるように押さえ、腫れを確かめる。

「痛みはこちらですか?」

 美咲の顔が近づく。息が、かすかに俺の頰にかかる。彼女の手つきは確かで、医学的な精密さ。でも、その指の温もりが、白衣越しに伝わってくる。ゴム手袋越しとはいえ、柔らかな圧力が膝の内側を這うように動き、筋肉の奥まで染み込む。俺の体が、勝手に熱くなった。心臓の鼓動が速まる。視線を上げると、彼女の瞳が俺を捉えていた。黒い瞳に、俺の姿が映る。互いの視線が絡みつく。

 ――なんだ、この緊張。診察のはずなのに、体が疼く。

 美咲の手が、膝からふくらはぎへ滑る。リンパの流れを確かめるためか、指が内腿の付け根近くまで達する。俺の息が荒くなる。汗が背中を伝う。彼女の白衣の隙間から、首筋の白い肌が覗く。微かな香水の匂い――甘く、官能的なものが、鼻腔をくすぐる。プロフェッショナルな手つきが、逆に欲望を煽る。理性が、ぐらりと揺らぐ。

「腫れは軽度ですが、念のため消毒と包帯をします。動かさない方がいいですよ」

 彼女の声が、少し低くなる。視線が、俺の顔に留まる。診察台の上で、俺たちの距離はわずか数十センチ。彼女の胸元が、息づかいに上下する。白衣の生地が、柔らかく張りつめる。俺は思わず、喉を鳴らした。衝動が、胸の奥から湧き上がる。こんな状況で、こんな感情。未熟な俺の体が、熱く反応する。

 消毒液の冷たい感触が膝に塗られ、次に彼女の手が包帯を巻く。指先が、俺の肌に何度も触れる。意図的か、無意識か――そのたび、電流のような震えが走る。互いの視線が、再び絡む。美咲の唇が、わずかに湿る。眼鏡の奥の瞳に、微かな揺らぎ。プロの仮面の下に、女の熱が潜んでいる気がした。

「これで大丈夫です。でも、経過を観察してください。連絡先を交換しませんか? 何かあったら、すぐに連絡を」

 美咲が、スマホを取り出す。俺は慌ててポケットから自分のを出す。LINEのQRコードを読み取る瞬間、手が触れそうになる。指先が、かすかに重なる。熱い。彼女の微笑みが、意味深だ。診察室の空気が、甘く淀む。

「ありがとうございます、美咲先生」

「美咲でいいわ。佐藤さんも、拓也で」

 名前を呼び合うだけで、体がざわつく。彼女は立ち上がり、白衣の裾を整える。豊かなヒップのラインが、俺の視界に焼きつく。

「また来院してね、拓也。いつでも、待ってるから」

 美咲の囁きが、耳元で響く。微笑みは優しく、しかし瞳に宿る光は、衝動的な誘惑。ドアが閉まる瞬間、俺の背中に残る余熱。膝の痛みなんか、忘れていた。雨の夜道を歩きながら、心臓がまだ鳴り止まない。この出会いが、ただの診察で終わらない予感が、体中を駆け巡る。

(第1話完 次話へ続く)

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