この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。
## 第1話:深夜受付の微かな誘惑
深夜のクリニック。
街灯の淡い光がガラス窓に滲み、雨の雫が静かに滑る。
拓也は二十八歳の独身。
肩の凝りが酷く、平日遅くに足を運んだ。
待合室は空っぽ。
カウンターの向こうに、彼女。
澪。
二十四歳の受付嬢。
黒いブラウスが肌に張り付き、鎖骨の影を深く刻む。
唇は濡れたルビー。
長い睫毛が、ゆっくり瞬く。
完璧な女装。
だが、それ以上。
視線が、拓也の喉元を刺す。
「いらっしゃいませ。
お名前は?」
声は低く、絹のように滑る。
拓也の指が震え、保険証を差し出す。
彼女の細い指が、証を摘む。
爪は深紅。
一瞬、指先が拓也の手に触れる。
電流。
膝が、僅かに軋む。
画面に視線を落とす澪。
首筋の髪が、零れ落ちる。
甘い香水の残り香が、カウンター越しに漂う。
拓也の息が、止まる。
彼女の瞳が、上がる。
直視。
瞳孔が、拓也の心臓を抉る。
「拓也さん、ね。
肩こり、ですか。
お疲れのようね。」
言葉の端に、棘。
微笑む唇の隙間から、息が漏れる。
拓也の背筋が、熱く疼く。
Mの疼き。
普段、抑え込んだもの。
今、膝裏を這う。
カルテを打つ指。
キーボードの音が、雨音に溶ける。
澪の視線は、時折、拓也の胸元を滑る。
シャツの隙間。
汗の粒。
彼女の舌が、唇を湿らせる。
無意識か。
意図か。
拓也の喉が、鳴る。
「診察まで、少しお待ちを。
ドリンク、いかが?」
小さなグラスを差し出す。
冷えた水。
指が、再び触れる。
今度は、意図的。
澪の爪が、拓也の手の甲を掠める。
甘い痺れ。
全身が、震え出す。
待合の椅子に沈む拓也。
視線を逸らせようとする。
だが、カウンターの影から、澪の輪郭が浮かぶ。
脚を組む仕草。
ストッキングの光沢。
太腿の曲線が、闇に溶け込む。
拓也の股間が、僅かに膨張する。
息を殺す。
診察室から、医師の足音。
短い診察。
薬の処方箋を受け取り、再びカウンターへ。
澪の瞳が、待つ。
会計のキーを叩く指。
ゆっくり。
拓也の鼓動に、合わせるように。
「お大事に、ね。
拓也さん。」
領収書を渡す瞬間。
指が、絡む。
名刺が、滑り落ちる。
澪の名刺。
だが、裏面に、手書きの文字。
「明日の夜。
このバーへ。」
住所と、店の名。
澪の息が、耳元に届くほど近い。
カウンターの隙間から、囁き。
「来ない?」
視線が、拓也の瞳を捕らえる。
逃がさない。
唇の端が、上がる。
微笑か。
命令か。
拓也の膝が、震える。
M心が、疼き出す。
名刺を握り締め、クリニックを後にする。
雨の路地を歩く背中。
澪の視線が、追いかける幻。
明日の夜。
何が待つのか。
疼きが、止まらない。
(第1話 終わり 約1950字)
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※次話予告:指定されたバーで、再会の視線が絡みつく。軽いタッチの甘い命令に、体が熱く反応する。