如月澪

女上司秘書の蜜壺絶頂(第1話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第1話:洗練された視線と残業の余韻

彩花は22歳の春、新人として入社した会社のオフィスで、緊張した面持ちでデスクに座っていた。入社してまだ一週間。配属先は営業部の部長秘書室で、上司は35歳の美咲さん。社内では「鉄の女」と呼ばれるほどの辣腕で、彩花は朝から胃が痛くなる思いだった。

美咲さんは、黒いタイトスカートに白いブラウスをまとい、髪を後ろで一つにまとめていた。細身の体躯から放たれる洗練された空気は、周囲の空気を引き締めるようだった。彩花は書類の山を前に、美咲さんの指示を待った。

「彩花さん、これを午前中にまとめといて。午後は部長のスケジュール調整よ」

美咲さんの声は落ち着いていて、穏やか。彩花は頷きながら、キーボードを叩き始めた。美咲さんのデスクはすぐ隣で、時折視線を感じる。美咲さんが資料をめくる仕草、手首を軽く回す様子、すべてが無駄がなく、彩花の目を奪った。なぜか、心臓が少し速くなる。

午前中は順調に進んだ。美咲さんは時折アドバイスをくれ、その言葉は的確で優しかった。「ここは数字を強調して」「メールの締めは丁寧にね」。彩花は頷きながら、美咲さんの指先が資料をなぞる様子を、つい見つめてしまう。細長い指、透明なネイル。自分とは違う、大人の余裕を感じた。

昼休みが過ぎ、午後の業務が始まった。部長の外出が長引き、スケジュールが詰まってきた。美咲さんは電話をかけながら、彩花に声を掛ける。

「彩花さん、今日の資料はこれで大丈夫? 確認しといて」

彩花は立ち上がり、美咲さんのデスクに近づいた。美咲さんが椅子を少し引いてスペースを作ってくれ、彩花は資料を覗き込む。美咲さんの肩がすぐそばで、ほのかにフローラルな香りが漂った。彩花の頰が熱くなるのを感じ、慌てて目を逸らした。

残業が始まったのは夕方六時過ぎ。オフィスは静かになり、他の社員たちは帰宅の途についていた。彩花と美咲さんだけが残り、部長の明日のプレゼン資料を仕上げていた。美咲さんはモニターを睨み、彩花は隣でデータを入力する。

「もう少しよ。彩花さん、疲れた?」

美咲さんの言葉に、彩花は首を振った。「大丈夫です。美咲さんこそ、いつも遅くまで……」

美咲さんは小さく笑った。「慣れよ。でも、たまには息抜きも必要ね。コーヒー買ってくるわ。一緒にどう?」

二人はオフィスを出て、近くのコンビニへ向かった。夜の空気が少し冷たく、彩花はコートを羽織った。コンビニに入り、美咲さんがホットコーヒーを、美咲さんがブラックを注文。彩花はカップを受け取ろうとして、手が滑った。コーヒーが少しこぼれ、カウンターに茶色のシミが広がる。

「あっ、ごめんなさい!」

彩花は慌ててティッシュを探すが、美咲さんが先に笑い出した。「あら、彩花さんったら。まるで私みたいね。先週、私も同じことしたのよ。部長の前でこぼして、顔真っ赤にしたわ」

美咲さんの意外な失敗談に、彩花もつられて笑った。普段の完璧なイメージが、少し崩れて親しみを感じる。レジのおばさんが拭いてくれ、二人は店を出た。カップを温め合いながらオフィスに戻る道すがら、会話が弾んだ。

「美咲さん、いつもそんな失敗もするんですね」

「するわよ、人間だもの。でも、笑って済ませるのがコツ。彩花さんも、これからたくさんあるわよ」

オフィスに戻り、残りの作業を終えたのは九時近く。美咲さんがパソコンを閉じ、立ち上がる。

「今日はお疲れ様。彩花さん、上手くやってくれたわ」

美咲さんの視線が、彩花の顔に注がれた。いつもより柔らかく、優しい。彩花の胸に、微かな緊張が走る。なぜか、息が浅くなる。美咲さんの唇が少し動き、言葉が続いた。

「また明日ね。ゆっくり帰って」

美咲さんは軽く手を振り、エレベーターへ向かった。彩花はその後ろ姿を見送りながら、心臓の鼓動が収まらないのを感じた。明日の朝、美咲さんのデスクに座る自分が、どんな気持ちになるのだろう。期待のような、甘いざわめきが胸に広がった。

(第1話 終わり)