篠原美琴

清楚看護師の不倫絶頂(第3話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第3話:腰の感触と紅茶の誘い

退院前日の朝、病室の窓から差し込む光は柔らかく、浩一の顔を優しく照らしていた。美咲は28歳の看護師として、最終診察の準備を整えていた。夫は昨夜遅く帰宅し、朝食の席で「今日も頑張って」と穏やかに言った。あの声が、まだ耳に残る。でも、夜勤の記憶が体に染みついている。浩一の額の熱、肩の重み、近づいた息遣い。唇が触れそうになった余韻が、胸をざわつかせていた。

「佐藤さん、最終チェックです。退院おめでとうございます」

美咲はドアを静かに開け、カルテと聴診器を手に中に入った。浩一はベッドに座り、右腕のギプスを外したばかりの腕を軽く動かしていた。35歳の体は、事故の痕を残しつつ回復の兆しを見せ、シャツの袖が少し捲れ上がっている。彼は美咲を見て、ゆっくり微笑んだ。視線が、いつものように絡みつく。夜勤の沈黙が、二人の間に再び訪れる。

「ありがとう、高橋さん。君のおかげで早く良くなったよ」

浩一の声は低く、温かかった。美咲はベッドサイドに立ち、聴診器を耳に当てる。浩一の胸に冷たい金属を押し当てる瞬間、互いの息が止まる。心音が、規則正しく響く。美咲の指が、シャツの布地越しに浩一の肌を感じる。固く、温かい。浩一の左手が、ベッドの上でゆっくり開く。美咲の腰に、そっと触れる。指先が、制服の裾をなぞるように。

美咲の体が、微かに固まる。でも、動かない。浩一の視線が上がる。目が合う。深い黒い瞳が、美咲の心を覗き込む。夫の顔が一瞬よぎる。あの人は、美咲の腰にこんな風に触れたことはない。穏やかな日常が、急に色褪せて見える。浩一の指が、軽く腰骨を押す。包むような感触。美咲の息が、浅くなる。距離は、ゼロに近い。

沈黙が続く。美咲は聴診器を外し、脈を測るために浩一の左手首を取る。浩一の指が絡み、互いの脈拍が重なる。速い。美咲の心臓が、浩一の肌に伝わる。浩一の親指が、美咲の手の甲を優しく撫でる。ためらいの時間。視線だけで、合意を確かめ合う。浩一の目が、静かに問う。「いいのか」。美咲の目が、わずかに伏せ、頷く仕草。夫への罪悪感が、甘い疼きに変わる。

浩一の左手が、美咲の腰を引き寄せる。ベッドの縁に腰を下ろす美咲の膝が、浩一の太ももに触れる。息遣いが混じり合う。浩一の顔が近づく。唇が、わずか数センチ。熱い吐息が、美咲の頰を撫でる。キス寸前。美咲の体が前傾し、目を閉じかける。期待が、胸を締めつける。でも、浩一の指が止まる。唇は触れず、代わりに美咲の耳元に息を吹きかける。

「高橋さん……」

囁きが、肌を震わせる。美咲は目を開け、浩一を見る。浩一の目が、柔らかく細まる。キスを寸止めした余韻が、二人の間に甘い緊張を生む。浩一の左手が離れ、ベッドサイドのテーブルを指す。小さなポットとカップ。紅茶の香りが、ふわりと広がる。

「飲む? 退院祝いに、持ってきてもらったんだ」

浩一が無言でカップを二つ用意し、一つを美咲に差し出す。美咲は受け取り、ベッドの端に座ったまま飲む。温かい液体が喉を通る。沈黙の中、浩一がカップを傾けすぎ、テーブルに少しこぼす。美咲は咄嗟にハンカチを出し、無言で拭く仕草。浩一の指が重なり、互いの手が触れ合う。軽い笑いが、こぼれる。息づかいのような、ユーモアの瞬間。浩一の口角が上がり、美咲の頰も緩む。紅茶の温もりが、体を溶かす。

カップを置く頃、二人の距離は変わっていた。浩一の左手が、再び美咲の腰に戻る。今度は、確かな重み。美咲は抵抗せず、視線を落とす。心理的な接近が、頂点に達する。夫の不在が、解放感をもたらす。浩一の指が、腰から背中へ滑る。優しく、探るように。美咲の体が、熱を持つ。息が乱れ、互いの視線が絡む。

「高橋さん、退院したら……会える?」

浩一の言葉が、静かに落ちる。美咲の心が揺れる。夫の顔が浮かぶ。でも、浩一の腰の感触が、強く残る。紅茶の余韻が、甘く体を包む。美咲は小さく頷く。言葉はない。ただ、目で約束する。

「ここじゃなくて、外で。ホテルで、ゆっくり」

浩一の声が、低く響く。美咲の胸が、悶える。期待が、体中を駆け巡る。最終診察のカルテに記入する手が、わずかに震える。浩一の視線が、離れない。立ち上がる美咲の背中に、手が触れる。送り出すような、引き留めるような感触。

「今日の夜、連絡する」

ドアに手をかけた瞬間、浩一の言葉。美咲は振り返らず、頷く。廊下に出て、壁に寄りかかる。息が荒い。腰の感触が、熱く残る。夫は今頃、職場で。美咲のスマホに、浩一の番号が登録される予感。退院後のホテル。唇が重なる想像。体が、疼いていた。何かが、決定的に変わろうとしている。

(第3話 終わり)