この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。
## 第2話:飲み屋の囁きと火照る帰宅
朝の光がカーテンを透かし、ベッドの上で彩花の寝顔を優しく照らしていた。俺、佐藤悠斗は昨夜のことを思い返しながら、そっと起き上がる。美里からのメッセージ。彩花の戸惑う表情。あの熱を帯びた視線が、頭から離れない。キッチンでコーヒーを淹れ、彩花が目をこすりながら出てくる。
「悠斗、おはよう。昨日、美里さんに『飲みに行きましょう』って返事しちゃった。仕事の付き合いだから、断れなくて……」
彩花の声は明るいが、どこか探るような響きがある。俺はマグカップを渡しながら、平静を装う。
「まあ、上司の誘いだもんな。楽しんでおいでよ。俺は家で仕事片付けるし」
本当は胸がざわついていた。美里のプロフィール写真を思い浮かべるだけで、妙な想像が膨らむ。彩花は俺の頰にキスをして、出勤した。彼女の後ろ姿を見送りながら、今日一日が長く感じられた。
オフィスでデスクに向かうが、集中できない。彩花のスマホに届いたメッセージを想像する。美里の妖艶な視線が、彩花をどう捉えるのか。昼休み、彩花からLINEが来た。「今夜、飲み会。美里さんだけだって。ちょっと緊張する」。スタンプの笑顔の裏に、微かな揺らぎを感じる。俺は「気をつけてね」と返し、スマホを握りしめた。嫉妬か、不安か。それとも、知らず知らずのうちに芽生える好奇心か。
夕方、彩花から「もうすぐ飲みに行くよ」と連絡。俺はスーパーで夕食の材料を買って帰宅した。時計の針が回るたび、心臓の音が大きくなる。彩花の日常に、美里という存在が深く入り込み始めている。彼女の心が、どんな風に揺れるのか。想像するだけで、体が熱くなった。
夜9時過ぎ、彩花から電話がかかってきた。声が少し上ずっている。
「悠斗? あのね、美里さんと二人で店に来てるの。意外と普通の居酒屋さんで、仕事の話ばっかり。でも、美里さん、なんか……近いよ。隣に座っちゃって」
背景にグラスの音と、美里の低く笑う声が混じる。彩花の息遣いが、いつもより荒い気がした。
「大丈夫か? 楽しんでるみたいだな」
「うん、楽しいよ。でも、美里さん、耳元で囁くんだ。『彩花ちゃんの首筋、綺麗ね。触ってもいい?』って。冗談だって笑ってるけど、息が当たって……ドキドキしちゃう。女同士なのに、変だよね」
彩花の言葉に、俺の胸が締め付けられる。美里の痴女めいた仕草が、鮮明に浮かぶ。店内の薄暗い照明の下、彩花の耳に唇を寄せ、甘い言葉を吹き込む姿。彩花は抵抗せずに、ただ頰を赤らめているのか。電話越しの彼女の声に、微かな興奮が滲む。
「そんなに近くて……羞恥心みたいなのが、くすぐったい。美里さん、指で私の手を絡めてくるの。『彼氏に内緒で、もっと知りたくなるわ』って。冗談だと思うけど、心が揺らぐよ。悠斗、ごめんね、こんな話」
「いや、いいよ。彩花の気持ち、聞かせてくれてありがとう。帰ったら、詳しく聞かせて」
俺の声は平静だが、内側で嫉妬と好奇心が渦巻く。彩花の心理が、美里の誘惑に少しずつ傾き始めている。電話を切った後、俺はソファに座り、息を吐く。彼女の火照った体を想像するだけで、下腹部が疼いた。
午前1時、玄関の鍵が回る音。彩花が帰宅した。コートを脱ぎながら、頰が上気している。目が潤み、唇が湿っているようだ。俺は立ち上がり、抱き寄せる。
「遅かったな。おかえり。どうだった?」
「うん……美里さん、すごい人だよ。店でずっと、耳元で囁いて。『彩花ちゃんの体、敏感そう。試してみたいわ』って。指が太ももに触れてきて、ビクッとしちゃった。女の私でも、あの視線に負けそうになるの。罪悪感あるのに、心地いい緊張感が……」
彩花の言葉が途切れ途切れだ。酒の匂いと、甘い体温が俺を包む。彼女の首筋に、薄い赤い痕のようなものが残っている。美里の唇か、指か。俺はそっと手を回し、腰に触れる。いつもなら溶け合う感触なのに、今日はわずかに体がこわばる。
「悠斗の触り方と、違う……美里さんの手、熱くて、ためらいがないの。心がざわついて、帰りたくなくなっちゃったかも」
彩花の瞳が、俺をまっすぐ見つめながら、どこか遠くをさまよう。拒絶ではない。ただ、火照った余韻に浸っているようだ。俺はキスを試みるが、彼女の唇は優しくかわされ、代わりに頰に触れる。息が熱い。
「今夜は……ちょっと疲れた。ごめんね、悠斗。シャワー浴びて寝よ」
彩花は浴室へ向かい、水音が響く。俺はベッドに横になり、天井を見つめる。嫉妬が胸を刺すが、同時に奇妙な興奮が湧く。彩花の体が、美里の手に反応した事実。彼女の心理が、ゆっくりと変化し始めている。シャワーを終えた彩花がベッドに入り、俺の背中に寄り添う。体温が高い。息遣いが、微かに乱れている。
翌朝、彩花は少し寝坊した。俺が朝食を作っていると、彼女がスマホをチェックする。
「美里さんから、またLINE。『昨夜は楽しかったわ。彩花ちゃんの反応、可愛かった。次は私の家で、ゆっくりね。特別な遊び、教えてあげる』って……」
彩花の指が画面を撫で、頰が再び赤らむ。俺はトーストを焼きながら、笑顔を浮かべるが、心臓が速まる。美里の次の誘い。それは、ただの飲み会では終わらない予感。彩花の視線が、俺に向きながらも、美里の影を宿している。
通勤途中の電車で、彩花が俺の手を握る。いつもより強く、熱く。その感触に、俺の不安が期待に変わり始める。美里の家で、何が起こるのか。彩花の心と体が、どう変わるのか。この緊張が、どこへ導くのか――。
(第2話 終わり)