藤堂志乃

女上司の温泉熟蜜絶頂(第2話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第2話:湯煙の肩寄せと腰に伸びる手

 朝の光が障子越しに柔らかく差し込む頃、私は布団から起き上がった。昨夜の余韻がまだ体に残っている。美佐子さんの浴衣姿、谷間の柔らかな影、指先の感触。心臓の鼓動が、静かな部屋に響くようだった。鏡の前で顔を洗いながら、今日の予定を思い返す。取引先訪問の前に、貸切露天風呂。彼女の提案が、ただの湯浴み以上の予感を孕んでいる。三十五歳の私は、仕事一筋のつもりだったが、この出張で何かが変わり始めている。胸のざわめきを抑え、浴衣を整えて部屋を出た。

 旅館の廊下はひんやりと静かで、遠くから湯気の匂いが漂ってくる。貸切露天風呂の入口で、美佐子さんが待っていた。五十歳の彼女は、湯上がりのような緩やかな浴衣姿。黒髪を軽く束ね、頰に朝の清々しさが浮かんでいる。普段のスーツ姿とは違い、浴衣が彼女の熟れた曲線を優しく包み、歩くたびに裾が揺れる。

「佐藤君、おはよう。早いわね。行きましょうか」

 彼女の声は穏やかで、微笑みが柔らかい。私は頷き、並んで石畳を進んだ。心の距離が昨夜少し縮まったとはいえ、まだ仕事の延長のような空気。だが、足音が重なるたび、互いの存在が意識される。露天風呂は山の斜面に沿った小さな湯船で、周りを竹林が囲み、貸切とはいえ人目を忍ぶような秘めごとさがあった。私たちは黙って浴衣を脱ぎ、湯に浸かる。熱い湯が肌を包み、昨夜の酒の疲れが溶けていく。

 湯煙が立ち上る中、湯船は意外に狭く、肩が触れ合うほどの近さになった。美佐子さんは目を伏せ、湯に浮かぶ木の葉を指でなぞっている。私は視線を逸らそうとしたが、彼女の肩から鎖骨にかけての白い肌が、湯気越しに艶めかしく見える。五十歳とは思えぬ張りがあり、湯に濡れて光る。心の中で、抑えていた欲求が静かに膨らむ。仕事の話から始めようかと思ったが、言葉が出てこない。沈黙が、甘い緊張を生む。

 ふと、美佐子さんが顔を上げ、私の目を見つめた。その視線はためらいがちで、昨夜の内緒話の続きを思わせる。彼女の瞳に、微かな揺らぎがある。孤独を語ったあの笑み、離婚後の自由を語った影。私の中に芽生えた親近感が、湯の熱さと混じり合う。

「佐藤君……昨夜の話、嬉しかったわ。私、普段はそんなこと、部下に話さないのよ」

 彼女の声は小さく、湯音に溶け込むよう。私は頷き、言葉を探した。

「僕もです。美佐子さんのこと、もっと知りたくなりました」

 その瞬間、肩が軽く触れ合った。偶然か、意図的か。彼女の肌は湯で温もり、柔らかく弾力がある。私は息を潜め、その感触を味わうように留めた。視線が絡み、互いの呼吸が聞こえるほどの近さ。美佐子さんの頰が、湯のせいか少し赤らむ。彼女の目が、わずかに逸れ、また戻る。そのためらいが、私の欲求を煽る。手が自然に動き、湯の中で彼女の腰に伸びた。細くしなやかな腰回り、浴衣の下とは違う生の感触。指先が触れた瞬間、彼女の体が微かに震えた。

 私は慌てて手を引こうとしたが、美佐子さんはそれを制するように、そっと自分の手で私の手を押さえた。湯煙の中で、彼女の視線が深くなる。ためらいの奥に、期待の光。五十歳の女性らしい、静かな欲情がそこにあった。

「いいのよ、佐藤君……このまま」

 彼女の囁きに、心臓が激しく鳴る。私はゆっくりと手を滑らせ、腰の曲線をなぞった。熟れた肢体の温もり、湯に濡れた滑らかさ。美佐子さんの息が乱れ、肩が寄り添う。互いの視線が離れず、沈黙が濃密な空気を生む。私は内省する。こんな状況、日記に書くならなんて書くだろう。「上司の腰に手が伸び、湯が熱すぎて溶けそう」とか。ふと、そんな内省ジョークが頭をよぎり、緊張が少し和らぐ。彼女も気づいたのか、くすりと小さく笑った。五十歳の余裕ある笑み。それが、互いの心を軽く解す。

 湯の中で、体が近づく。彼女の胸元が私の腕に触れ、柔らかな膨らみの感触が伝わる。私はためらいながらも、指を絡め、彼女を引き寄せた。美佐子さんの手が、私の背に回る。ゆっくりとした動きで、互いの肌が重なり合う。湯煙が視界をぼかし、感覚だけが鋭くなる。彼女の吐息が耳にかかり、甘い緊張が頂点に達する。欲求が抑えきれず、唇が近づきかけたその時、美佐子さんが体を少し離した。視線に、合意の予感を宿しつつ、まだの色。

「ここじゃ……ないわね。湯から上がりましょう」

 彼女の声は震えを含み、期待を匂わせる。私は頷き、湯船から上がった。体を拭き、浴衣を羽織る間も、互いの視線が絡み離れない。腰に残る感触、肩の温もり。心の奥で、関係が新たな段階へ移るのを感じる。取引先訪問の前に、部屋に戻る道すがら、美佐子さんが囁いた。

「今夜、私の部屋で……続きを、ゆっくり」

 その言葉に、下腹部が熱く疼く。朝の湯煙がもたらした変化。仕事の仮面の下で芽生えた欲求が、静かに燃え上がる。夜の部屋で、何が待つのか。胸に満ちた期待が、甘く体を震わせた。

(第2話 終わり)