藤堂志乃

女上司の温泉熟蜜絶頂(第1話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第1話:旅館の夕餉と湯上がりの誘惑

 新幹線の車窓から過ぎ去る山並みが、ぼんやりと夕暮れの色に染まっていた。私は三十五歳の営業部員、佐藤健一。今回の出張は、いつもと少し違っていた。隣に座るのは、私の上司である五十歳の美佐子さん。部署のエースとして知られる彼女は、黒髪を後ろでまとめ、シャープなスーツ姿が凛々しい。美人という言葉が浅く感じるほどの、洗練された美しさだ。五十歳とは思えぬ張りのある肌と、穏やかながらも鋭い眼差し。社内では「鉄の女」と陰で囁かれる存在だが、私にとっては憧れの対象でもあった。

 きっかけは、地方の取引先との温泉旅館での会合。急な欠員で、私が同行することになったのだ。美佐子さんは普段、部下との私的な距離を保つ人だ。仕事の話以外で言葉を交わすことは稀で、今日も車中では資料を広げ、淡々と指示を出していた。それでも、ふとした瞬間に視線が重なるたび、心臓の鼓動が速くなるのを抑えきれなかった。彼女の存在は、いつも私を静かにざわつかせた。

 旅館に到着したのは、陽が完全に沈んだ頃。玄関で出迎えられた私たちは、別々の部屋に案内された。夕食は個室で二人きり。畳の香りが漂う部屋に座卓が据えられ、地元の海鮮が並ぶ。美佐子さんは浴衣に着替えていた。湯上がりらしく、頰がほんのり上気し、髪を軽くアップにまとめている。浴衣の襟元から覗く白い首筋が、普段のスーツ姿では見えない柔らかさを湛えていた。

「佐藤君、今日はお疲れ様。ゆっくり味わって」

 彼女の声は穏やかで、グラスに注がれた地酒を勧めてくる。私は頷きながら、箸を進めた。仕事の話はすぐに終わった。取引先の件、数字の確認。それが一段落すると、意外な話題が飛び出した。

「佐藤君は、結婚は?」

 突然の質問に、私は酒のグラスを止めた。美佐子さんは箸を置き、静かに私を見つめている。社内でそんな私事を聞かれることなど、なかった。

「いえ、まだです。仕事が忙しくて……美佐子さんは?」

 彼女は小さく笑った。五十歳の女性らしい、深みのある笑み。

「私? もう何年も前よ。夫とは離婚して、以来一人。意外と悪くないわ。自由で、静かで」

 そこから話は、仕事外の内緒話へと移った。美佐子さんの過去。彼女は若い頃、地方の小さな会社で這い上がってきたという。結婚、出産、離婚。社内で昇進を重ねる裏で、どれだけの孤独を抱えてきたのか。言葉は控えめだが、その瞳に浮かぶ影が、私の胸を締めつけた。私は自分のことを話した。二十代の失敗した恋、仕事に没頭する日々。互いの言葉が、酒の肴のように重なっていく。心の距離が、知らず少しずつ縮まっていくのを感じた。

 夕餉が終わり、部屋に戻る頃。廊下で美佐子さんが立ち止まった。

「佐藤君、湯上がりで浴衣が少し緩んでるわね。直してあげる」

 彼女は私の襟元に手を伸ばし、そっと整えてくれた。その指先が首筋に触れた瞬間、電流のような震えが走った。彼女の浴衣の隙間から、湯上がりの熟れた谷間が覗く。五十歳とは思えぬ、豊満で柔らかな曲線。白い肌に、ほのかな湯の湿り気が光っている。私は視線を逸らせようとしたが、絡みつくように目が離せなかった。抑えきれないざわめきが、下腹部に静かに広がる。

 美佐子さんは気づいているのか、薄く微笑んだまま手を離した。その視線に、甘い緊張が混じる。

 部屋に戻った私は、布団に横になりながら、今日の出来事を反芻した。美佐子さんの内緒話。彼女の過去に触れたことで、私の中に芽生えた親近感。いや、それ以上の何か。湯上がりの浴衣姿、谷間の柔らかな影。あの感触を思い出すだけで、体が熱くなる。仕事の出張のはずが、こんな感情が揺らぐとは。心の奥で、抑えていた欲求が静かに息づき始める。

 翌朝の予定は、取引先訪問の前に、旅館の名物である貸切露天風呂を回ることになっていた。美佐子さんが夕餉の最中、さらりと提案したのだ。

「貸切露天、二人で入りましょうか。仕事の続きを、湯の中でゆっくり」

 その言葉が、耳に残っていた。一人で湯に浸かるはずの朝が、急に甘い予感に満ちる。彼女の視線を思い出し、私は布団の中で息を潜めた。心臓の音が、静かな夜に響く。果たして、湯煙の中で何が起こるのか。胸に芽生えた緊張が、甘く疼くように広がっていく。

(第1話 終わり)