神崎結維

上司の膝で揺れる日焼け甘え(第2話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第2話:オイルの指が膝上へ導く疼き

雨がフロントガラスを叩く音が、車内の静寂を強調していた。高槻課長の運転する車は、街灯の淡い光を浴びながら、夜の住宅街を進む。オフィスを出てから、言葉はほとんど交わさなかった。ただ、彼の横顔が時折、私の日焼けした腕に視線を落とすのが、シート越しの熱として伝わってきた。「うちで一杯やるか」という曖昧な誘いが、今は車内の空気を重く甘く染めている。私はシートに深く凭れ、膝を寄せた。寄りかかりたい衝動が、雨音に混じって胸をざわつかせていた。

マンションに着くと、課長は地下駐車場からエレベーターへ私を促した。狭い箱の中で、彼の肩が近く、湿った空気に混じる彼の匂いが、鼻先をくすぐる。日焼けの首筋が、じんわりと熱を持ったままだった。部屋のドアが開くと、柔らかな間接照明が広がり、雨の夜にぴったりの静かな空間が迎えた。黒を基調としたソファと、窓辺に並ぶウイスキーのボトル。都会の夜景が、ガラス越しにぼんやりと滲む。課長はジャケットを脱ぎ、ネクタイを外しながらグラスを二つ用意した。

「まずはこれを。海の疲れを癒すのにいい」

琥珀色の液体が注がれ、氷の音が響く。私はソファに腰を下ろし、グラスを口に運んだ。アルコールの甘い刺激が、喉を滑り落ち、身体の芯を緩める。課長は向かいに座り、私の肩を眺めた。ブラウスから覗く日焼け跡が、照明の下でより鮮やかに浮かび上がる。水着のラインが、くっきりとした黄金のコントラストを描いていた。

「やはり、触ってみたくなるな。あの肌……」

彼の声が低く、グラスを置く手が止まった。私は息を潜め、視線を合わせる。オフィスでの続きのような、つかみどころのない熱が、再び漂い始めた。冗談か本気か。境界が曖昧に揺れる中、私はグラスをテーブルに置き、ゆっくりとブラウスをはだけさせた。肩から腕、胸元近くまで、日焼けの境目が露わになる。海の記憶が、肌に染みついた生々しい証のように感じられた。

「見ての通りです。塗り忘れたせいで、こんなに……」

言葉を飲み込み、彼の反応を待った。課長の目が、細かく動く。そこに、業務の親しみ以上のものが宿っているのか、それとも夏の夜の錯覚か。部屋の空気が、微かに重くなった。彼は立ち上がり、棚から小さなボトルを取り出した。日焼けオイルのラベルが、照明に光る。

「これを使おうか。放っておくと、荒れるぞ」

彼の指がボトルを開け、透明なオイルを掌に広げる。私は頷き、ソファに凭れかかった。合意の空気が、自然に流れる。拒否など、考えもしなかった。むしろ、この疼きを、彼の手に委ねたい衝動が、胸を締めつける。課長は私の隣に膝立ちになり、指先を肩に這わせた。冷たいオイルが、日焼けの境目に触れる。ゆっくりと、円を描くように塗り広げられる感触が、肌の表面を震わせた。

「ん……」

声が漏れた。指の腹が、柔らかく圧を加え、筋肉の奥まで染み込む。健康的だと言った彼の言葉が、今は甘い響きを帯びて蘇る。肩から腕へ、首筋へ。日焼け跡のコントラストを、親指で優しくなぞる動きが、身体の芯を溶かす。雨音が窓を叩き、部屋の静寂を際立たせる中、オイルの滑りが、互いの熱を増幅させた。彼の息づかいが近く、指先が時折、ブラのストラップに触れる。境界が、溶けそうで溶けない緊張。私の手が、無意識に彼の腕に触れた。

「気持ちいいか? もっと、深く塗ってやる」

課長の声が、耳元で囁くように響く。私は目を閉じ、頷いた。オイルの甘い香りが、アルコールと混じり、頭をぼんやりさせる。彼の指が、背中側へ回り、ブラウスをさらにずらす。日焼けのラインが、胸元近くまで露わになり、照明の下で艶めかしく輝く。指の圧が、甘く疼きを煽る。海で焼けた肌が、彼の掌に委ねられ、赤ちゃんのように無力で甘い感覚が、胸に広がった。依存の揺れが、静かに深まる。

「課長の手……熱い」

掠れた声で呟くと、彼は小さく笑った。指が止まり、代わりに私の腰を引き寄せる。自然な流れで、私は彼の膝の上に導かれた。スーツの生地が、日焼けした太ももに擦れる感触。膝に跨がるような姿勢で、彼の胸に凭れかかる。オイルで濡れた肌が、彼のシャツに密着し、熱が直に伝わる。課長の腕が、私の背を抱き、優しく揺らす。まるで赤ちゃんをあやすような、ゆったりとしたリズム。

「いい子だ。こうして甘えろ」

言葉が、曖昧に甘い。恋の囁きか、ただの遊びか。本心を明かさない瞳が、私の顔を覗き込む。私は彼の首に腕を回し、頰を胸に寄せた。心臓の鼓動が、雨音に混じって聞こえる。膝の上で、日焼け肌が彼の熱に染まり、オイルの残り香が二人を包む。指先が、再び腰を撫で、太ももの境目をなぞる。疼きが、頂点近くまで膨らむのに、行為はそこで止まる。互いの視線が絡み、境界の緊張が、甘く震える。

グラスが空になり、ウイスキーのボトルがテーブルに残る。課長の膝で揺れる私の身体が、日焼けのコントラストを際立たせ、彼の指が時折、唇に触れるような仕草をする。言葉は少なく、ただ熱だけが漂う。「もっと甘えていいぞ」と、低い声が漏れる。依存の輪郭がぼやけ、胸の奥で何かが疼き続ける。これは錯覚か、それとも……。夜の雨が強まり、窓を叩く音が、リズムを刻む。

膝の上で、彼の胸に顔を埋めていると、課長の手が私の髪を優しく梳いた。赤ちゃんのように甘やかされる感覚が、身体全体を緩ませる。日焼け跡に塗られたオイルが、乾き始め、肌を引きつるような甘い違和感を残す。彼の膝が、微かに動き、私を揺らす。互いの熱が近づき、息が混じり合う距離なのに、結論は出さない。曖昧な視線が交錯し、次の疼きを予感させる。

雨が小降りになり、夜景の灯りが部屋に差し込む頃、課長は私の耳元で囁いた。「まだ、終わりじゃないな。もっと、膝の上で甘えろよ」その言葉に、身体の震えが深まる。本格的な甘えが夜の果てに待っている予感が、曖昧な熱をさらに煽った。

(約1980字)

※次話へ続く