久我涼一

取引先妻のオフィス密着(第3話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第3話:深夜の抱擁

平日の夜、オフィスの窓外に広がる街灯の光が、ビルの谷間に淡く滲んでいた。藤原浩二はデスクのランプを唯一の灯りに、画面の数字を睨みつけていた。時計は午後11時を回り、他の社員たちはとっくに帰宅した後だった。新プロジェクトの最終調整が急務となり、鈴木恵子との深夜作業が決まったのは、数時間前。メールのやり取りで「今夜中に片付けましょう」と彼女が提案し、浩二は迷わず了承した。あのランチの視線、車中の肩の感触が、胸の奥で静かに疼き続けていた。妻には「遅くなる」とだけ伝え、家路のことを一時棚上げにしていた。

ドアが静かに開く音が響き、恵子が入室した。黒のニットにタイトなスカート、肩にかけたコートを脱ぐ仕草が、疲労を帯びつつ優雅だった。髪は軽くまとめられ、首筋に一筋の影が落ちる。彼女の瞳が浩二のデスクに注がれ、微かな笑みが浮かぶ。

「藤原さん、お待たせしました。外、雨が降り出しましたよ」

声は低く、雨音を思わせる柔らかさ。恵子は隣の椅子を引き、デスクにタブレットを置いた。二人分のスペースは狭く、自然と肩が寄り添う距離になる。浩二はコーヒーのマグを差し出し、「これ、温かいうちに」と促した。彼女の指がマグを受け取る瞬間、再びあの温もりが蘇る。画面共有を始め、数字の微調整を進めるが、疲労が体を重くし、互いの息遣いが聞こえるほど近い。

作業は淡々と進んだが、1時間ほどで一息つく頃、会話が自然に逸れた。「藤原さん、こんな時間まで付き合わせてすみません。夫はもう寝てる頃ですね」。恵子の言葉に、浩二はキーボードから手を離した。「いえ、こちらこそ。妻も仕事慣れしてるんで、大丈夫です。でも、確かにこんな夜は、日常が遠く感じますね」。二人はコーヒーを啜り、互いの家庭のルーチンをぼんやり語り合う。子供のいない結婚生活の空白、仕事の重みが肩を並べて共有される。恵子の吐息が、浩二の耳元に微かに届く。雨が窓を叩く音が、オフィスの静寂を強調した。

体が疲れ、椅子を寄せると、二人の膝が軽く触れ合った。恵子のスカートがわずかにずれ、ストッキングの光沢がランプに映る。浩二の視線がそこに落ち、彼女の瞳と絡む。会話は途切れ、互いの呼吸だけが車内を思い起こさせる距離に満ちる。「藤原さん……あの日の車中、覚えてますか」。恵子の声が震え、指先が浩二の袖に触れた。浩二は頷き、手を重ねる。布地越しに伝わる熱が、抑えていた疼きを一気に解き放つ。

「恵子さん、俺も……ずっと、考えてました」

浩二の囁きに、彼女の瞳が潤む。軽く体を寄せ、互いの意志を確認するように見つめ合う。恵子の手が浩二の頰に上がり、ゆっくりと引き寄せる。唇が触れ合う瞬間、合意の甘さが体を震わせた。キスは穏やかから熱を帯び、舌先が絡み合う。彼女の吐息が浩二の口内に溶け込み、ニットの胸元が押しつけられる。浩二の手が恵子の背中に回り、抱擁が深まる。肌の震えが頂点に達し、互いの体温がオフィスの冷気を溶かすように熱くなる。恵子の指が浩二のシャツの襟を握り、微かな喘ぎが漏れる。指先が互いの腰を這い、抑えきれない衝動が甘く疼く。妻の顔が一瞬よぎるが、それは恵子の唇の柔らかさに掻き消された。

雨音が激しくなる中、二人はデスクに寄りかかり、体を重ねる。恵子の首筋に唇を這わせると、彼女の体が弓なりに震え、吐息が熱く耳を打つ。「藤原さん……ここじゃ、でも……」。言葉は途切れ、互いの手がスカートの裾を探る。ストッキングの感触、肌の滑らかさが指先に染み、震えが頂点に達する。部分的な絶頂が恵子の体を硬直させ、彼女は浩二の胸に顔を埋める。静かなオフィスに、二人の息遣いだけが響く。背徳の重さが、快楽をより甘くする。

その時、浩二のスマホが振動した。画面に妻の名前が浮かぶ。深夜の着信に、心が揺らぐ。恵子が体を離し、互いの瞳が絡む。浩二は電話を無視しようとしたが、彼女が小さく首を振り、「出た方が……」と囁く。浩二は息を整え、通話ボタンを押した。「もしもし、浩二? まだ仕事? 心配で……」。妻の声が現実を呼び戻す。浩二は「もう少しで終わるよ」と平静を装い、切った。恵子の手が再び浩二の手に重なる。瞳に残る熱と、揺れる責任の間で、二人は静かに見つめ合う。

「藤原さん、次は……もっと、ちゃんと場所を。私のオフィスの近くのホテルで、続きをしましょう」

恵子の言葉は囁きのように低く、決定的な選択を告げる。浩二は頷き、唇を重ねる短いキスで応じた。雨が止み、街灯の光が窓に反射する。オフィスを出る二人の背中に、妻の声と肌の震えが交錯し、次なる衝動を静かに予感させた。

(第4話へ続く)