三条由真

人妻女王の黒スト綱引き(第2話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第2話:黒ストの跪き震え

 美玲の囁きが、雨音に溶け込むように部屋を満たした。健太の膝が、わずかに震え、床につく。シングルチェアから滑り落ちるように、彼はゆっくりと跪いた。視線は床に固定されたまま、黒いストッキングに包まれた美玲の足元へ、吸い寄せられる。距離が一気に縮まり、二メートルあった距離が、息苦しいほどの近さに変わる。彼女の足首が、照明の下で微かに光り、ストッキングの薄い繊維が肌の温もりを透かして見せていた。

「いい子ね、健太さん。もっと近くで、感じてごらんなさい」

 美玲の声は低く、甘い圧を帯びて彼の耳朶を撫でる。ソファに深く凭れ、彼女は脚を軽く広げた。黒ストッキングの光沢が、膝からつま先まで滑らかに流れ、健太の息を奪う。跪いた彼の顔は、彼女の足元から三十センチほどの位置。雨の音が激しく窓を叩き、部屋の空気を重く湿らせる。健太の指先が、無意識に床を掻く。心臓の鼓動が、耳元で鳴り響く。

 彼は顔を上げた。美玲の瞳が、女王のように彼を見下ろす。だが、その視線に、微かな揺らぎがある。夫の部下を自宅に招き、こんな命令を下す自分。32歳の身体が、黒ストッキングの締め付けで熱く疼くのを感じていた。健太の視線が、足の甲を這い上がり、ふくらはぎの曲線をなぞる。ストッキングの感触を想像させるだけで、彼女の太腿が内側で微かに締まる。

「どう? 私の足、こんなに近くで見ると……どんな感じかしら」

 美玲の言葉が、綱のように彼の首を締め上げる。健太は喉を鳴らし、視線を固定したまま答える。

「美玲さん……滑らかで、温かそうで……光が、吸い込まれます」

 正直な告白が、部屋の空気を震わせる。美玲は微笑んだが、唇の端がわずかに引きつる。優秀な部下の視線が、足元を貪るように熱い。彼女は意図的に、つま先を軽く動かした。ストッキングの摩擦が、かすかな音を立て、健太の頰に息を吹きかけるほど近くに迫る。跪いた彼の息遣いが、彼女の足の肌に触れる。薄い繊維越しに、温もりが伝わり、美玲の背筋に甘い震えが走った。

 沈黙が落ちる。息を詰まらせるほどの間。健太の瞳が、反撃の光を宿す。足元を値踏みする視線が、ゆっくりと上がり、美玲の膝を越え、タイトスカートの裾へ。黒ストッキングの縁が、わずかに覗く太腿の白さが、彼の喉を乾かす。美玲の均衡が、微かに崩れる。女王の仮面の下で、心臓が速くなる。夫の不在を埋めるこの遊びが、部下の視線に操られているような錯覚。

「ふふ、熱い視線ね。あなた、ただ見てるだけじゃないわよね。触れたいんでしょう?」

 美玲の声に、わずかな甘さが混じる。主導権を握り返そうとする圧力。だが、健太は跪いたまま、顔を近づけた。鼻先がストッキングのつま先に触れそうな距離。息が、繊維を震わせる。

「美玲さん……許可を、いただけますか」

 彼の言葉が、低く反撃する。視線が絡みつき、女王の瞳を射抜く。美玲の指が、ソファの肘掛けを握りしめる。空気が凍てつく。一瞬の、互いの息遣いが止まる静けさ。雨音だけが、部屋を支配する。彼女の足が、無意識に近づき、健太の唇にストッキングの光沢を擦りつける。薄い感触が、電流のように二人を繋ぐ。美玲の太腿が、内側で熱く疼き始める。

 健太の唇が、ゆっくりと触れた。ストッキング越しの温もり。滑らかな繊維が、唇に沈み、彼女の足の形をなぞる。美玲の息が、わずかに乱れる。女王の支配のはずが、この感触が甘い震えを呼び起こす。健太の舌先が、つま先を優しく押す。ストッキングが微かな湿り気を帯び、部屋の空気を甘く重くする。

「ん……健太さん、そこ……上手ね」

 美玲の声が、初めて震えた。心理的圧が、逆転の兆しを見せる。跪いた彼の視線が上がり、彼女の瞳を捕らえる。主導権の綱引きが、熱く絡み合う。美玲は脚を組み替えようとするが、健太の手が、ふくらはぎに触れる。ストッキングの感触が、指先に滑り、肌の熱を伝える。互いの息遣いが近づき、顔と足元の距離が、危険なほど縮まる。

 空気が、再び凍る。健太の指が、足首を優しく包み、ストッキングの繊維をなぞる。美玲の身体が、微かに仰け反る。女王の威光が、甘い疼きに溶け始める。夫の部下の手に、こんなにも操られるなんて。だが、その逆転の予感が、彼女の唇を湿らせる。視線が絡みつき、言葉の前に息が交錯する。

「もっと……強く、触ってごらんなさい。でも、私の目を見て。誰が、主導権を握ってるのか、確かめましょうか」

 美玲の唇が、ゆっくりと開く。次の誘いが、囁かれる──。

(第3話へ続く)