篠原美琴

林間の主婦零れゆく視線(第2話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第2話:奥林の座、溶けゆく気配

綾子は、足音を忍ばせて真由に近づいた。木の幹に寄りかかるその姿が、風に揺れる葉影に溶け込むように静かだった。数メートルの距離が、息苦しいほどに縮まる。真由の視線が、再び綾子を捉え、わずかにうなずくような揺れを見せた。言葉はない。ただ、互いの瞳が絡みつく。綾子の肌が、熱くざわつく。夫のいない家では決して感じない、土の匂いに混じる湿った予感。

真由はゆっくりと体を離し、小道の奥へ進んだ。落ち葉の積もった平らな場所、木々が囲む小さな窪地。裏山の奥、街の気配が完全に途切れる場所だ。平日昼下がりの陽光が、葉隙から細く差し込み、土を淡く照らす。真由はそこに腰を下ろし、スカートを膝まで引き寄せるように座った。素足の足首が、土に沈む。綾子は迷わず後を追い、同じように座る。互いの肩が、触れそうで触れない距離。二人の息が、木々のざわめきに紛れる。

沈黙が落ちる。重く、温かく。真由の瞳が、地面に注がれる。落ち葉の層、湿った土の表面。彼女の指先が、スカートの裾をわずかに持ち上げる。布地が、膝上で滑る音が、かすかに響く。綾子は視線を逸らせなかった。息を詰め、胸の奥が疼く。真由の下腹部から、温かな気配が零れ落ちるような錯覚。空気に溶け出す、湿り気のある匂い。土に染み込む、かすかな湿音。葉ずれのざわめきが、それを覆い隠すように激しくなる。

綾子の喉が、乾く。肌の奥で、何かが緩み始める。夫との夜でも知らない、甘い震え。下腹部に、熱い予感が溜まる。真由の頰が、上気している。瞳の奥に、ためらいの揺れ。零れゆく瞬間を、共有するような視線。スカートの裾が、再びわずかに持ち上がる。温もりが、大地に沈む気配。匂いが、微かに広がる。綾子の息が、乱れる。途切れ途切れに、熱く吐き出される。指先が、土に触れ、震える。触れられない距離で、心が溶け出す。

真由の唇が、動いた。息が漏れるように。「……見てて」

声は囁きに過ぎず、風に紛れる。綾子は頷けなかった。ただ、視線を固定する。真由の体が、わずかに前屈む。スカートの下から、零れゆく温かな流れ。土に染み、落ち葉を湿らせる。匂いが、沈黙を濃くする。甘く、土臭く、抑えきれない熱。綾子の下腹部が、共鳴するように疼く。肌が熱を持ち、息が絡みつく。互いの視線が、地面と瞳を行き来する。ためらいの余白に、熱が満ちる。

真由はゆっくりと体を起こし、綾子を見つめた。頰の赤みが、残る。瞳に、満足のような、誘うような揺れ。「……気持ちいいわ。ここなら、誰も知らない。零れ落ちて、溶けていくの」

綾子の心臓が、鳴る。言葉を返す間もなく、真由の視線が下へ滑る。綾子のスカートへ、膝へ、地面へ。落ち葉の湿った部分が、陽光に淡く光る。綾子は息を詰め、指を土に押し込む。震えが、指先から全身へ広がる。夫のいない自由な時間、この林間で、何かが変わろうとしている。真由の気配が、綾子の肌に染み込む。温かく、湿った誘い。

「あなたも……試してみて」

真由の声が、木々のざわめきに溶ける。ためらいの揺れが、瞳に宿る。綾子は視線を落とした。自分の下腹部に、溜まる熱。スカートの裾が、膝で揺れる。息が、熱く乱れる。指先が、布地に触れそうで触れない。土の冷たい感触が、背中を押すようだ。真由の視線が、絡みつく。沈黙が、肌を震わせる。綾子の心が、木々のざわめきに溶け始める。零れゆく予感が、下腹部を甘く満たす。

二人は座ったまま、互いの息を感じる。距離は変わらず、数センチの空気。触れられない、近づけない。それなのに、熱が共有される。真由の唇が、かすかに微笑むような揺れ。綾子の指が、土を掻く。震えが、止まらない。林間の空気が、濃く湿る。零れゆく温もりの余韻が、二人の沈黙を深くする。綾子の全身が、甘く疼き始める。何かが、始まろうとしている。

(第3話へ続く)