紅蓮

女装恋人の熱く絡む視線(第1話)

この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。

## 第1話:女装の肢体に絡みつく渇望

 雨の降りしきる夜の街路を、あかりは足早に歩いていた。25歳の彼女は、恋人の悠の部屋へ向かうのが待ちきれなかった。28歳の悠とは、半年ほど前から付き合い始め、互いの熱い視線が絡みつくような関係を築いてきた。仕事帰りの平日、こんな時間に訪れるのは珍しいが、今日のあかりは抑えきれない衝動に駆られていた。悠の部屋の鍵を借りているのは、そんな信頼の証だ。

 アパートの階段を上り、ドアの前に立つ。雨に濡れたコートを脱ぎ、鍵を回す。室内は薄暗く、かすかなランプの光が漏れていた。いつものように声をかけようとしたが、異様な静けさに息を呑んだ。リビングの扉が僅かに開き、中から甘い香水の匂いが漂ってくる。あかりの心臓が、激しく鳴り始めた。

 そっと扉を押し開けると、そこに悠がいた。いや、悠ではない──女装した悠が、鏡の前に立っていた。黒いレースのワンピースが、細い腰にぴったりと張り付き、肩から滑り落ちるようなストラップが白い肌を露わにしていた。長い黒髪のウィッグが肩を覆い、赤い唇が艶やかに光っていた。ストッキングに包まれた脚は、しなやかで柔らかく、まるで女性のそれのように優美だった。悠の体躯は元来細身だが、この姿では一層の妖艶さを帯び、胸元に微かな膨らみさえ感じさせた。あかりの視線は、その柔らかな肢体に釘付けになった。

 衝撃が、あかりの胸を貫いた。息が止まり、喉が熱く渇いた。悠は鏡に映る自分に気を取られ、背後の気配に気づいていなかった。あかりは動けなかった。恋人の男らしい輪郭が、こんなにも女性的に変貌するなんて。心臓の鼓動が耳元で爆発し、好奇心が一気に膨れ上がった。悠の首筋の白さ、ワンピースの裾から覗く太ももの曲線──それらが、あかりの内に渇望を呼び起こした。視線が、熱く絡みついた。触れたい。確かめたい。この秘密を、独占したい。

 「悠……?」

 声が漏れた瞬間、悠が振り返った。目が合ったその刹那、悠の顔から血の気が引く。慌ててウィッグを直し、ワンピースの裾を押さえようとするが、手が震えて上手くいかない。女装姿のまま、悠は後ずさった。

「あ、あかり! どうして……鍵、使ったの? 早く帰って! 見ないで!」

 悠の声は上ずり、普段の落ち着いたトーンとは別物だった。頰が赤く染まり、長いまつ毛が震えていた。あかりの胸に、激しい感情が渦巻いた。慌てる悠の姿が、可愛らしくてたまらない。いや、可愛いなどという言葉では足りない。この柔らかな肢体が、悠の一部だと思うだけで、下腹部に熱い疼きが走った。

 あかりは一歩踏み出し、ドアを閉めた。雨音が外から響き、部屋は密閉された。視線を逸らさず、悠に近づいた。悠は壁に背を預け、逃げ場を失った。

「どうして、こんな姿で……? 説明して、悠。全部、聞かせて」

 あかりの声は低く、息が荒かった。悠の肩に手を置き、指先でレースの生地をなぞった。柔らかい感触が伝わり、あかりの体温が急上昇した。悠の肌は熱く、わずかに汗ばんでいた。慌てる悠の瞳に、怯えと──どこか甘い期待が混じる。あかりの心が、独占欲で爆発しそうになる。この姿を、誰にも渡さない。自分のものだ。

「違うんだ、あかり……これは、ただの……趣味みたいな……お願い、見ないでくれよ!」

 悠が手を振り払おうとするが、あかりは離さない。むしろ、もっと強く抱き寄せた。悠の胸が、あかりの体に押しつけられる。柔らかな感触が、ワンピース越しに伝わる。あかりの息が、熱く乱れ始めた。鼻先で悠の香水を吸い込み、首筋に唇を寄せる。

「趣味? それだけ? 嘘よ、悠。こんなに綺麗で、こんなに……魅力的で。どうして隠してたの? 私に、見せたくなかった?」

 言葉の端々に、嫉妬と渇望が滲む。あかりの指が、悠の背中を滑り、腰に食い込む。悠の体がびくりと震え、吐息が漏れた。その音が、あかりの理性を溶かす。視線が絡みつき、互いの熱が部屋を満たす。悠は抵抗を諦め、目を伏せた。

「……本当の理由、話すよ。でも、今は……まだ、準備ができてないんだ」

 悠の告白めいた言葉に、あかりの胸が疼く。秘密の深みを予感し、もっと知りたくてたまらない。指先が、悠のストッキングの縁をなぞる。肌の熱が、直接伝わってくる。あかりの息づかいが激しくなり、爪が軽く悠の肩に食い込んだ。痛みと快楽の狭間で、悠の瞳が潤む。

「今夜、全部聞くわ。逃がさない……悠の、この姿も、全部」

 あかりの唇が、悠の耳元に触れそうになる。雨音が激しくなり、二人の熱気が部屋を支配した。悠の柔らかな肢体に視線が絡みつき、抑えきれない衝動が、次の接触を予感させる──。

(約1950字)