この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。
## 第1話:オフィスのストッキング脚に視線が絡む
オフィスの空気はいつも通り、静かに淀んでいた。
28歳の私は、経理部のデスクで数字を睨みながら、午後の眠気を振り払うようにコーヒーを啜った。窓から差し込む陽光が、モニターに淡い影を落とす。いつものルーチン。だが今日、その単調な流れに、わずかな揺らぎが生まれた。
隣の部署から、新しく異動してきた26歳の同僚、佐倉美咲がやってきた。
ショートヘアが耳元で軽く揺れる姿が、まず目を引いた。黒い髪は肩に届かぬ長さで、すっきりと整えられ、首筋の白さが際立つ。彼女は資料の束を抱え、控えめな笑みを浮かべて私のデスクに近づいた。
「これ、確認お願いします。数字の整合性、念のため。」
声は穏やかで、低め。ストレートに業務を進めるタイプだ、と私は思った。
彼女の脚に視線が落ちた瞬間、息が止まった。
黒いストッキングに包まれた細い脚線。膝下から足首へ、滑らかな曲線を描き、黒いパンプス――ヒールが高い。歩くたび、かすかな音が床に響く。ストッキングの光沢が、蛍光灯の下で微かにきらめき、肌の温もりを透して想像させる。オフィスの制服スカートが膝上丈で、座る仕草でわずかに持ち上がるたび、その脚が意識を奪う。
私は慌てて視線を資料に戻した。心臓の鼓動が、少し速い。彼女は気づいていないだろう。いや、気づいているかもしれない。静かなオフィスで、互いの存在が空気を重くする。
美咲はデスクの端に腰を寄せ、資料を広げた。
距離は一メートルほど。彼女のヒールが床に軽く触れ、トン、という小さな音。私の膝が、無意識に動いてしまう。彼女のストッキング脚が、すぐそこに。薄い生地の下、筋肉の微かな動きが、視界の端で揺れる。触れたらどんな感触か。滑らかで、温かく、わずかな張り。想像が頭をよぎり、喉が乾く。
「ここ、合計が合わないかも。」
彼女の指が資料をなぞる。私は頷き、ペンを取るが、手がわずかに震えた。視線を合わせると、彼女の瞳が静かに私を映す。ショートヘアの隙間から、耳たぶが見える。柔らかそうで、息を吹きかけたら震えるだろうか。
作業が進む中、緊張が空気に溶け込む。
言葉は業務のことだけ。だが、沈黙の合間に、互いの視線が絡む瞬間がある。彼女が脚を組み替える。ストッキングの擦れる音が、かすか。ヒールの先が床を叩き、リズムを刻む。私は資料に集中しようとするが、失敗する。彼女の脚が、視界を支配する。26歳の肌、ストッキングの薄い膜が、すべてを包む。オフィスの空気が、甘く重くなる。
そして、起きた。
美咲が資料をめくる手が滑り、一枚が床に落ちた。私の膝元へ。彼女が慌てて屈むと同時に、私も反射的に手を伸ばす。二人の指先が、資料の上で触れ合う。――いや、資料などない。ただ、無言のまま、互いの手が床近くで止まる。彼女のヒールが、私の靴に軽くぶつかり、カツン、という音。
一瞬の沈黙。彼女の目がわずかに見開き、私の視線と合う。頰が、ほんのり赤らむ。慌てて資料を拾い、立ち上がる彼女。だが、その動きでショートヘアが揺れ、ストッキング脚が露わに。
「す、すみません。つい……。」
彼女の声に、珍しく照れが混じる。私は小さく笑みを返す。無言のコミカルなミスが、氷を溶かしたようだ。距離が、わずかに縮まった気がした。
午後の残業が決まった。
オフィスが静かになる頃、他の同僚が帰り支度を始める。私と美咲だけが、デスクに残る。蛍光灯の光が、彼女のストッキングに柔らかな影を落とす。ヒールの音が、二人きりの空間に響く。視線が、再び絡み合う。彼女の瞳に、静かな期待が宿る。
資料を片付けながら、私は思う。この緊張が、どこへ向かうのか。彼女の脚の温もりは、まだ知らない。だが、今夜、このオフィスで、何かが変わる予感がした。
(第1話 終わり)