この作品は18歳未満の方の閲覧を禁止します。フィクションであり、現実の人物・事件とは一切関係ありません。
## 第1話:隣人女医の肩揉み誘惑
私は芦屋恒一、六十二歳のただのサラリーマン上がりだ。定年退職して三年、毎日の肩こりが唯一の悩み事だった。長年のデスクワークが祟り、朝起きては首筋が鉛のように重い。湿布を貼り、湯船に浸かっても一向に楽にならない。散歩がてら新聞を取りに行く道すがら、隣のマンションに住む女性の顔が浮かんだ。
彼女の名は美佐子。四十代半ばの女医で、同じ棟の三階に一人暮らしだ。数年前に挨拶を交わすようになり、時折エレベーターで顔を合わせる仲になった。白衣姿ではなく普段着の彼女は、穏やかな笑顔が印象的で、知的な眼差しが大人の女性らしい落ち着きを湛えていた。胸元が少し開いたブラウスから覗く肌は、年齢を感じさせない滑らかさで、つい視線を奪われそうになる。
ある夕刻、勇気を出して彼女の部屋のチャイムを押した。肩こりの相談を口実に、軽く頼んでみるつもりだった。ドアが開くと、美佐子は柔らかなニット姿で現れた。肩まで伸びた黒髪を後ろでまとめ、細身の体躯に程よい肉付き。45歳とは思えぬ張りのある頰が、柔らかな照明に照らされて優しく輝いていた。
「恒一さん、どうしたんですか? 珍しいですね」
彼女の声は低く、落ち着いた響きがあった。私は照れ臭く頭を掻きながら、事情を話した。美佐子はくすりと笑い、すぐに部屋に招き入れてくれた。リビングは清潔で、医療書が並ぶ棚と小さな観葉植物が置かれ、静かな大人の空間を醸し出していた。ソファに腰を下ろすよう促され、向かいに座った彼女の膝がわずかに近づく距離に、心臓が少し速くなった。
「肩こりですか。デスクワークの後遺症でしょうね。私、整形外科医ですし、簡単なマッサージならお任せを。挨拶代わりに、軽く揉んでみましょうか」
美佐子は立ち上がり、私の後ろに回った。彼女の指先が、シャツの上から肩に触れた瞬間、予想外の心地よさが広がった。熟練した力加減で、親指が凝りを捉え、ゆっくりと円を描くように押す。肩甲骨の辺りがじんわりと熱くなり、血行が良くなる感覚が全身に染み渡った。
「ここ、かなり張ってますね。毎日どれだけ我慢してたんですか?」
彼女の息が耳元にかかり、かすかなフローラルな香りが鼻をくすぐる。私は目を閉じて、その指の動きに身を委ねた。美佐子の手は細くしなやかで、医者としての経験が指先に宿っているようだった。肩から首筋へ、優しく滑る感触が、ただの揉みほぐしを超えた心地よさを呼び起こす。体が自然と緩み、普段抑えていた緊張が解けていく。
揉みながら、美佐子は穏やかに私の日常を聞き出してきた。定年後の孤独な日々、妻を早くに亡くした喪失感、息子が遠くで暮らす寂しさ。言葉少なに答えながらも、彼女の指は止まらず、肩の奥深くまで届く圧で凝りをほぐしていく。私は思わずため息を漏らした。
「ふう……美佐子さん、これ、プロ級ですよ。本当に楽になる。六十代の老体に鞭打つのは限界だな。自分で揉んでも、こんなに上手くいくもんか」
自嘲気味に笑うと、美佐子もくすくすと声を上げた。老練のユーモアが、私の年齢差を軽く受け流す。彼女の指が一瞬、首の付け根を優しく撫で、ぞわっとした快感が背筋を走った。シャツの下で肌が熱くなり、下腹部に微かな疼きが生まれるのを自覚した。こんな軽い接触で反応するとは、自分でも驚きだった。
「恒一さん、意外と筋肉質ですね。放置してたら大変ですよ。本格的にオイル使って、背中までほぐしましょう。次はちゃんと予約を。私のオフの日に来てください」
彼女の声に甘い響きが混じり、指が肩から腕へ滑り落ちる。離れるのを惜しむように、軽く握る感触が残った。私は頷き、再訪を約束した。部屋を出る頃には、肩の重さが嘘のように軽く、心に温かな期待が芽生えていた。あの熟練した指先が、次はどんな心地よさを与えてくれるのか。ドアを閉め、エレベーターで降りながら、胸の高鳴りを抑えきれなかった。
(続く)